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異世界帰還録  作者: 夜縹 空継
第四章:オーザンガール編
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第六十五録:地に墜ちた空園 五節「ライセンスキー」

「この階には生きている敵はいないのう。」

「と、なると死霊とゴーレムに注意しよう。」

夜天羅の探知能力は言わずもがな、しかし生きている者に限られる。

死霊とゴーレムは相性がこの上なく悪い。

「過去の探索で戦闘などは確認されてはいませんが…今回は条件が違うので別れずに固まって動きましょう。」

「了解です。」


大きな塔…日本で言う所の高層ビル、フロアもそれなりに大きい。

しかし物はあまり残ってなくがらんとしていた…探索され尽くしている、唯一この一階フロアは扉が全部開く、めぼしい物は何もない。

書類なんかも読んではみるものの差し当たりない普通の内容ばかり…まぁこんな場所に重要な書類や物があるとは期待はしていなかった。


「やはりこの場所は何もないですね!」

「メインはここより上の階層ですね。」

「上階に上がれはしますが…開かない場所が多いです。」

「あれじゃな!あのカードキーが役に立つかもしれんのう!」

「だな」

俺はポケットに仕舞っていたカードキーを取り出す…3Fライセンスキー。

これが2階でも使えるかは正直微妙なところではある。


「カードキー…ですか?」

「そうです、訳ある最近入手したんですよ。」

ベリルさんとネーメルさんは興味深そうにカードキーを眺めている。

「鉄…じゃない?」

「木でもないですね!」

そうか…今まで気にも留めてなかったがプラスチックは現在のこの世界では珍しい物になるのか…。


「プラスチック…人工的に作った樹脂です、俺な世界では安価な素材ですね。」

「へー…」

「じゃあ、二階へ行きますか。」

エレベーターはあるが流石に乗るには危険が未知数、階段で二階へ上がっていく。

2階に到着してフロアへ入る、すると自動で明かりがついた…センサーライトだろう。


「オフィスって感じだな…」

一階とは違い、部屋数が多く事前の情報通り扉は全て閉められていた。

「まずはこの階でも使えるか適当な扉で試しますね。」

「お願いします。」

フロアに入ってすぐの近くにあった扉へ向かう、扉は固く閉ざされており扉の横には数字が並ぶパスコードキーとその下にカードを挿入する所があった。


俺はライセンスキーを矢印の方向通りに機械へ差し込んだ…。

ピピッ…と電子音が短く響くと扉が開いた、どうやら3階限定のライセンスキーではなく3階までを開くことができるライセンスキーだったようだ。

「開きましたね!」

「ここからは私たちも未知の領域です。」


開錠した部屋に全員で入る、その部屋は机が並びデスクワークをする為のオフィス。

パソコンがありキーボードから電源を入れて起動をさせた。

この会社専用なのか起動画面からアトランティスの文字やロゴが浮かぶ。

そして案の定────

「パスワードか…」

「なんですか?これ?」


「パソコン…情報を保存したり検索したりとそれ以外にも色々と便利な機械、魔道具?ですよ…ただ特定の文字と数字を入力しないと今は使えないですね。」

「それは…なんとも珍妙な物ですね…」

二人からすれば見る物全てが新しい物だろう、逆に俺からすればデザインは違えど馴染み深いものばかり。


「うーむ…どこかにメモでもしてないかのう?」

「いやぁそんなお袋みたいな…」

こんな秘密が多そうな企業でパスコードをメモするバカなんてクビになってもおかしくない…とはいえロックを解除するにはそのバカに縋るしか俺たちに打てる手がない。

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