余談「君の日:上」後編
「……ストレートに訊いたらいんじゃねぇかな?夜天羅ちゃんの性格だしお前の思っている様な事にはならねぇと思うぞ?」
「んー…そうだよなぁ……だと思うんだけどさぁ…やっぱりちょっと怖いんだよ」
確かに親父の言うことが八割は正解だと思うが残りの二割が地雷すぎる…俺は机に突っ伏して悩む。
「お前は昔からちょーっと心配性だな、優しすぎるのも毒だぞ?」
「うーん……」
そうは言われるものの、いまいち煮え切らない覚悟が決まらない。
夜天羅の気持ちも心配だがそれと同じくらい嫌われたくないという思いが強い。
「なーにもし夜天羅ちゃんが暗い雰囲気になったら……」
「なったら?」
俺は顔をあげて親父を見る、もしもの時の解決策に期待して次の言葉を待つ。
「こーすりゃいいんだよ!!」
両腕を広げてから包み込む様にした……つまりハグをしろと?
「えぇ?」
「さらにこう!」
唇を尖らせて目を閉じる親父…さらにキスまでしろってか、この生臭坊主め。
「………ふざけてる?」
「バカ言え!至極真剣だ!息子の悩みを茶化すやつがあるか!」
今目の前にいるよ、と言ってやりたいが親父の表情は真剣そのものだふざけてる様子はない。
「少なくとも母さんはこれで大丈夫だぞ?」
「あぁ…はいはい」
やめてくれ、知りたくなかった情報を急にぶっこんでこないでほしい。
「あら〜?どうしたの?二人とも?」
「お袋」
声の主はいつの間にかリビングに帰ってきていたお袋だった。
「おぉ母さんいいタイミングだ、実はなぁ」
親父は今までの話をお袋に伝えた。
「なるほどね〜…そうねぇ、もし夜天羅ちゃんにそういうトラウマがあるかわからないのなら聞くしかないと思うわ。」
「もし…あったら?」
「その時はお父さんの言った通りにしてみなさい、夜天羅ちゃんが縁継へスキンシップが多いのはあなたの側が一番安心するからだわ、だから大丈夫上手くいくわよ。」
「お袋…うん、わかった。」
「おい待て、なんで母さんの言葉だとすんなり納得するんだよ。」
「なんか親父より説得力があった。」
不服そうな親父にそう伝えた、俺の側が安心か…この言葉が胸に反響していた。
「この贅沢者め!早く夜天羅ちゃんとこ行ってこい!」
「いてっ」
親父は八つ当たりなのか丸めたスポーツ新聞で俺の頭を軽く叩く。
親父なりに喝を入れてくれたんだろう。
両親に相談をして心に渦巻いていたモヤモヤが晴れたと同時に覚悟も決まった。
「わかった、行ってくよ。ありがとう」
「おう!」
「は〜い」
俺は両親の声を背に受けて家を早足で出た、夜天羅元へいち早く向かうために。




