第六十三録:監視の眼 五節「偶然」
「ゴルドーさんの任務に…ですか?」
思わず聞き返してしまった…確かに彼は僕と天音の教官だ。
自身が長期の不在はあまり良くはない事を理解は理解できる、だからと言ってついて行くのは大丈夫なんだろうか?
「……それっていいの?」
天音も僕と同じ疑問を感じていた様で少し眉間に皺を寄せて質問をしていた。
彼女は昔から他人に対して厳しい…というよりは男性に対して厳しいかな?元々は物怖じしない発言や行動が多いが。
「大丈夫さ、それにそろそろ君たちも外を知るべきだろう。」
「なるほど…」
確かにそうだろう、僕たちはまだこの街から出た事はないし訓練ばかりで本番の戦いというものを知らない。
「…どこへ行く予定なんでしょう?」
聞いてもわかるかは怪しいが一応、知識としてこの世界のことを教えてもらっている。
「ここから離れた場所、オーザンガールへ。」
オーザンガールは確か貿易都市、そこにゴルドーさんは任務に向かい僕たちもついて行く。
「同行と言っても君たちは基本的に自由に過ごしてもらって構わないよ、ただ…ギルドで依頼を幾つか受けてもらうかと思ってね。」
「!!」
「なによそれ」
一緒にオーザンガールへ行くが任務には同行せずにか…それならついて行く意味が薄いのじゃないか?
「経験を積んでもらうかと思ってね、私とは別行動ではあるが…」
ゴルドーさんはそう言って右手から魔術を発動させる。
そこに現れたのは小さな…ライオンに似た生物が地面に着地して座る。
「あの…これは?」
「コイツは私が契約している"魔獣レオニルス"オーザンガール滞在中の私の代わりさ」
静かに凛々しいレオニルスを二人して見つめた、ゴルドーさんの代わりか…護衛もだが僕たちが無茶をしない様にストッパーとしての役割も兼ねているだろう。
「よ、よろしく?」
あっているかわからないが握手みたいに僕は手を差し出してみる。
ガウ。
短くそう鳴き声をあげてレオニルスも前を足を上げて僕に触れてくれた。
「それで、いつ行くのよ?」
「準備が出来次第すぐにでもさ!」
「はぁ!?」
天音が怒りより早く困惑の声を上げた、それにしても急すぎる。
「すまない…ついさっき決まった事でね、準備は急かさないからできたら私に教えて欲しい。」
それから天音からの多少の文句はありつつも僕たちはオーザンガールへ。
城下街とは違い、人が多く日本でいう東京の様な雰囲気だった。
宿に到着してゴルドーさんはすぐに自身の任務へと向かった、残された僕たちは──
「ギルドにでも行く?」
「……そうね、依頼を受けてみましょう。」
内心では僕も天音もギルドで依頼を受けるという事を少し楽しみにしていた。
ギルドに到着してすぐに受付へ向かうと色々な依頼書を見せてくれた、その中で僕が選んだ物。
「神代遺跡の調査?」
「うん、初めてだし軽めのものをね」
小規模の遺跡探索を選んだ、最初だしあまり危険性が少ないものを選んだ。
場所は同じく神代遺跡ファーネイルの近くにあるらしい。
「まぁ…いいじゃない」
「じゃあ決まりだね。」
ガウ。
天音と多分レオニルスの許可が降りて無事に依頼が決まった、初めての依頼に内心のワクワクが止まらない。
小さな子供の頃の様な童心を弾ませながら僕たちはギルドを後にして街を観光を楽しむ。




