第六十三録:監視の眼 四節「暇を持て余す。」
フィリッツランド城にある中庭、日当たりのよいこの中庭の噴水にあるベンチに腰掛ける男女がいた。
「今日は暇だなぁ……」
「そうねぇ…ゴルドーさんもどっか行っちゃったし訓練も終わったしね。」
僕の隣で同じ様に暇をしているのは幼馴染の刺牙 天音。
彼女は暇を持て余して自身の右側のツインテールを右手でくるくると弄んでいた。
「理人は街に行かないの?」
「んー僕はいいかなぁ…天音は?」
「あたしも」
この国…いやこの世界に来てはや数ヶ月が経った、あまり自由に動ける立場じゃないが街に行くくらいなら問題はない。
しかし…街に行く以外に娯楽が少ないのは現代っ子の僕たちには厳しくもある。
「ある意味…覡君が羨ましいよ。」
「新聞に色々書いてあったわね、悪魔を倒しただどうのって。」
この世界来てすぐにクラスメイトであった覡 縁継がその日の夜に城を脱走…。
ゴルドーさんに色々と聞いたが庇っている?のかいつも明確な答えをはぐらかされてしまう。
「一番の不思議があの鬼?が一緒にいた事かな…千木が言うには一年以上の付き合いだとか?」
「それに関しては覡の言葉が正しかったんじゃないかしら?」
そう天音に言われて思い出すのはあの時のセリフ"俺たちが居た世界にも少なからずそういう存在がいる"だ。
どうやらあれは世迷言などではなく実体験から来ている言葉ということになる。
「だとすると…地球にも神様とか妖怪とか色々ほんとにいる事になるよなぁ」
「まぁそうね。」
「あ、おーい!」
背後から僕たちへ声をかけたれた、2人して振り向くと少し遠い所の廊下からゴルドーさんがいた、何か用事だろうか?
小走りで僕たちの元へ駆けつけたゴルドーさんはいつもの様な鎧ではなくラフな私服…という事は今日は非番だったのだろうと邪推する。
「やあ、今時間大丈夫かい?」
二人して顔を見た、今ちょうど互いに暇をしていた。
そんな状況を打破してくれるかもしれないゴルドーさんを歓迎しない訳がない。
「大丈夫です!」
「ありがとう、実はね…少し遠出をしようかと思ってね!」
「遠出…ですか?」
「そう!私じゃないとダメな急務が入ってしまってね。」
近衛騎士というのはとても大変なものなんだろう…でもそれを僕たちに伝えるのは日が開くから他の教官の元で訓練するからかもしれない。
「2人とも僕についてきてほしんだよ。」




