第六十三録:監視の眼 一節「掴んだ因縁」
「で、私が調べて有力な奴はコイツね」
そう言ってソレイユから取り出された資料を受け取りハミルトンと一緒に確認した。
「カトレア・ウィンストン?」
「そ、ソイツが悪魔になって降魔礼賛の首魁」
「なんで…このカトレア・ウィンストンなのですか?」
神代の時代…その何百何千の歴史の中でピンポイントでこの1人を選び出した理由がわからない、いくら悪魔の助言があったからといってすぐには信用はできない。
「因縁を辿っていったのよ、誰かを愛する縁、友になる縁…色々とあるわ。」
そう…説明するソレイユは軽く指を鳴らす、すると私の親指に淡い…緑色の糸が現れてそれはハミルトンの手へと繋がる。
「それは信頼の縁よ…で、私がカトレアを辿ったのは復讐、嫌悪よ」
「因縁…」
「で、ここから大事なのはこの縁は生きている者にしか反応しない。」
「……カトレアが恨んでいる人物はだれですか?」
恐らく…この人物がカギだろう、ソレイユは助言を受けてまずその人物を調べそこからカトレアに辿り着いた。
「あッ……ドロシー?」
「正解よアヤ、よくわかったわね」
これにはソレイユも驚愕していた、しかしドロシー?ヨリツグとヤテンラの2人と一緒にいたあのゴーレム?
「ザディル、信じられないかもしれないけどドロシーには魂があって生きているのよ。」
「それは!…なんとも不思議な…」
ゴーレムに魂を定着させた?……神代の技術なら可能…か?
だとしてもなぜその様な…いや今はそれではない、ヨリツグたちが狙われている!!
「ヨリツグさんたちは知っているんでしょうか?」
「知ってるんじゃないかしら?ルナミスの悪魔だっけ?を退治したのなら地獄の主が関わっているはずだからね」
……それもそうか、倒した悪魔を回収するために現場に向かう。
「それなら!私たちに連絡してもいいんじゃ!?」
「ま、それができないんじゃないかしら?フラウリンは大丈夫だけど他の場所だと降魔礼賛がどこで見ているかもわからないしね」
神の痕跡を作れる以上はそういうリスクは常にある、だから私も報告は最小限にしていた。
「ありがとうございます…それがわかっただけでも大幅に前進です。」
「でも肝心なカトレアの居場所はわからないわ」
手をヒラヒラさせてお手上げと体で表すソレイユ…一つ試したいことができた。
「カトレア様、その縁は他者が触る事は可能ですか?」
「……なるほどね、貴方は適材適所だわ。」
ニヤリと笑うソレイユ、その反応をみると触る事は可能なんだろう。
しかし通常、その縁を触ることに意味はない……私を除いてだがな。
「えッ!?まさかいやいや!ザディルさんそんな事が可能なんですか!?」
「私とこの魔剣なら可能ですよ。」
魔剣は私の能力を120%以上を引き出す、それを縁を辿ることに全てを集中させる。
「今すぐできますか?」
「離れた位置の縁を視るなら少し時間がいるわ」
「お願いします。」
「りょーかいよ」
右手で親指を立てて私たちに笑顔を向けてくれるソレイユ。
「や、やったですねザディルさん!!ついに居場所がわかるかもですよ!!」
これまで一緒に苦労をしてきたハミルトンは両手をあげて喜んでくれる。
「あぁ…確実ではないが精一杯頑張ろうか。」
「はい!!」
ヨリツグとヤテンラ…関わったのは僅な時間だろう、けれども私はこれ以上彼らに不幸が降り掛かるのは許せない。
善良で…あれほど愛し合っている2人は私たち騎士が護るべき者だ。




