余談「一年が経つ日。」後編
「お前様!お疲れさまじゃ!」
「ありがとう」
夜天羅が住む書院の戸を叩くと笑顔で俺を出迎えてくれる。
にゃーん
コイスケも一緒にだ、最近のこの時間帯はこっちにいることが多い。
俺が帰宅後すぐに夜天羅の元へ行くのがわかっていて書院にいる様子。
足元で尻尾を立てるコイスケを片手で抱き上げる。
コイスケはグルグルと喉を鳴らしてリラックスしている、そんな感じで俺たちは居間まで移動した。
「紙袋はわしが貰うかの、中身はは食材じゃろ?義母様から聞いておるんじゃ」
「そうなのか」
夜天羅は手を出すと俺はその手に紙袋を引き渡す、そのまま台所の冷蔵庫に食材を直す。
居間にはまだこたつがあった、気候が不安定でまだ冬みたいに寒い日があり使っているんだろう。
……これはコイスケがこっちにいるもう一つの理由かもしれない。
「今からもうお前様の誕生日を祝うのは楽しみじゃのう!」
妙にウキウキしている夜天羅は自分のことの様に喜んでくれる。
「17だなぁ…」
一年間…本当に色々あった、俺はしみじみと夜天羅との一年間を頭の中で振り返っていた。
「んふふ、後一年じゃなぁ……」
夜天羅そう呟く。
あと一年……一年後には夜天羅と結婚式を挙げてそれから………ッ!!
俺はその最終的な目的を思い出してしまい一人で気まずくなる。
……俺だって男だ、そういう事に興味がないわけがない。
「んー?お前様?」
夜天羅へ視線を向けた。
キョトンとした顔が愛らしく映る、普段は綺麗な顔なのに仕草や表情は可愛い。
おまけにスタイルだっていい、そんな恋人がいつも無邪気に抱きつきキスを頻繁にする。
理性がいつも悲鳴をあげていた。
今だって俺の左側に座り腕を絡めて手は恋人繋ぎをして俺へ軽く体重を預けている。
「んっ!」
そんな事を考えていると夜天羅へ無性に口付けをしたくなった、彼女は急な口付けに面食らっている。
最近は俺も慣れて来て俺からこういう事をたまにしていた…今日は特に誕生日で浮かれたせいでもある。
「んふふ…んっ」
お返しと言わんばかりに次は夜天羅のほうから口付けをする。
そうしてしばらく恋人同士の睦み合いをしていたが…時間が待ったをかける。
「…そろそろ準備するか」
「おお!もうそんな時間かのう」
今の時刻は18時30分、お袋が言っていた時間まであと30分しかない。
俺たちは二人で協力してご飯の準備を始めた。
食材で予想はついていたが今日はすき焼きをする。
その為にこたつにコンロを置き肉と野菜を並べてゆく、二人で動いた為時間内に準備を終わらせることができた。
すると夜天羅のスマホに着信が掛かってくる。
「お!義母様じゃ!」
スマホ取り出してすぐに画面をタップした、夜天羅のスマホからお袋の声が聞こえて来た。
「あら〜??」
ビデオ通話だが…夜天羅は普通に電話する様にして耳にあてていた。
「夜天羅、夜天羅、画面を見てみ」
「お?おー!義母様に義父様!」
画面に両親が映る、新鮮な感じがする。
「そっちは準備できてるみたいね〜…じゃあ」
夜天羅も画面越しの両親も俺の方へ視線を向けると示し合わせた様にして声が重なる。
「誕生日おめでとう!」
「ありがとう」




