第六十一録:向き合う者 二節「二人きり。」
ステンドグラスから光が差し神聖な雰囲気を纏い荘厳な空気が流れている。
ここは城にある教会、私がそこに訪れたのは彼女に会うためだ。
教会内を進み、教壇の前にいる彼女の後ろ姿へ私は声をかける。
「アルメリア枢機卿」
「…アルレッド近衛騎士」
アリアは振り返り私と目が合う、表情には疲労が見える。
無理もないだろう…状況が目まぐるしく動いている、私やアリアはそれなりの立場にいる人間だ、責任や考える事が多い…特に最近は心労が絶えないことばかりだ。
だが幸いな事にアリアとその上司であるベロニカ教皇は敵ではない。
「どうしたのですか?この様な所に来るなんて…」
「君に用があってきたんだ」
こんな所か…確かにあのギルバートの訪問から城内での教会関係者は肩身が狭い。
「私に用ですか?…奥の応接間で話をお聞きしますよ。」
アリアに誘われ教会の私たちは応接間に移動をした、テーブルを挟み対面で座り向かい合う。
……いつぶりだろうか、彼女とこうして面と向かって話をする、それが仕事が絡んだとしていてもだ。
「それで…私に用事と言うのは?」
「まずは先日のニュースは知っているか?」
「例の二人が悪魔を討伐した件ですか」
「そう、それだ。」
大々的に報じられていた事もありアリアも知っていた、ヨリツグ殿とヤテンラ殿が関わっているのならなおさら目に入るだろう。
「私がアリ…アルメリア枢機卿に頼みたいのはとある作戦の参加だ、すまないがまだ詳しくは話せない。」
「確約はできませんが…お話次第ではお受けいたしましょう」
仕事の話はあっさりと済んだ、正直驚きだ。
アリアにはてっきり断られて交渉が難航すると思っていた。
「………」
互いに無言の時間が続く、何かをアリアと話したいと思うが言葉が出てこない。
彼女は私がここにいる事を拒否していない、以前なら話が終わればすぐに私へ退室を促すか自身が出ていっていた。
「ゴルドー」
「!?」
アリアから私の名が呼ばれる、いつもの様な呼び方ではなくだ。
「なんです?」
やや緊張気味にアリアの呼び掛けに答える、彼女が私を名で呼ぶなんて本当に久しぶりだ。
「貴方は…私を許しているのですか?」
「───ッ!」
まさか…アリアから"あの事件"に関してのそれも核心的な問いを私に投げかけてきた。
私は彼女の目を見た、視線を逸らさず目と目が合う。
アリアのトラウマ…心に打ち込まれた深い…深い自戒の楔。
それを今、自分で揺さぶって向き合おうとしている。
これを私は待っていた。
アリアが向き合うというなら私はそれを隣で支えたい、大事な人だから。




