第六十録:妖精の国へ 五節「直々の」
「適当に寛いでね」
案内されたオールヴェレニアさんの執務室は広く、開放的な部屋だった。
俺たちは来客用のソファに腰掛けた、ベリルさんとネーメルさんは入室し扉の両隣に立っている。
「まずは…そうだね、ノウス・ルミナスの件を感謝するよ。」
オールヴェレニアさんから初めに告げられたのはあの悪魔の一件。
「いえ…俺たちは依頼を受けて倒しただけですよ。」
「それでもだよアレックスは良き取引相手、何より良き友人だ…彼のあんな明るい声色を聞いたのは彼が子供の時以来だ」
……?言葉に違和感を覚える、アレックスさんが子供の時だとオールヴェレニアさんはそもそも生まれていないのでは。
「どうしたんだい?不思議そうなかおをしているけど?」
俺が考えていた事がどうやら顔に出ていたらしい。
「…失礼を承知の上でお伺いします、オールヴェレニアさんはおいくつなんですか?」
「…あ、そうか君たちは異邦者だったね、妖精族は長命でね僕は今年で250歳だったかな?」
「!?」
「ほう!」
250!?この若々しい見た目でか!?どう見ても二十代前半にしか見えない。
「あはは!新鮮な反応でなんだか楽しいね」
そう言ってクスクスと笑うオールヴェレニアさん、なるほど…通りでアレックスさんの子供時代を知っているわけだ。
それに250…なら前回のルミナスでおこなわれた儀式という名の生贄を知っている当事者になる。
「お察しの通り僕は前回の生贄を目撃している、その時はまだ若くて王座を継いでなかったが罪人とは言え悲惨だったよ」
過去を語るオールヴェレニアさん、歴史の目撃者…
「それも君たちのおかげで終わったからね、これから憂なくアレックスと交友ができるよ」
オールヴェレニアさんは本当に嬉しいのだろう笑顔を俺たちへ向けたその表情を見て俺は裏表のない人だと思った。
「さてと…君たちには挨拶をする為ともう一つ用があって呼んだんだよ」
「俺たちに?」
薄々は思っていたが…やはりなにか依頼があるらしい。
「まぁそう身構えないで、君たちはアキレウサスへ探し物をしに行くだよね?」
「えぇ、はいその為にこの後ギルドへ依頼がないか見に行く予定です。」
「それなんだけど、僕から依頼を出そう」
「オールヴェレニアさん自らですか?」
この国の王からの依頼…一体なにをさせるつもりだろうか?俺たちは少し身構える。
「メインはアキレウサスの探索さ、あそこにはいけない場所が多くてね。君たちの様な異邦者なら何か変化があると期待してさ。」
いけない場所か…この間のカードキーが頭に過ぎる。
アキレウサスは特殊な場所らしく、フィリッツランドとフォルスラで所有権を有していると聞いた。
「あとはベリルとネーメルの同行を条件に入れたいのだが構わないかい?役立つとは思うよ。」
特務騎士二人の同行…それに現地の知識ざある、特段拒否する理由もないし俺たちが探す物とは目的が違う。
「うむ!大丈夫じゃよ」
「同じくです。」
「決まりだね!よろしく頼むよ、ギルドの方へ話は通しておくけど形だけギルドへ顔を出しておいてね」
話はあっさりと決まり俺たちは執務室を後にした、ありがたい事に宿を紹介してもらった。
…最初は城への宿泊を勧められたが流石に断った、気が休まらないのも理由ではあるが。
それからギルドへ向かうとオールヴェレニアさんのおかげか依頼受付はすごくスムーズに終わり時間ができた俺たちは街を散策する事にした。




