第五十九録:行く宛 四節「そんな事」
「夜天羅も初めてだよな?」
「うむ!狙いをつけてここを引けばよいのじゃろ?」
夜天羅がトリガーをカチカチと動かす、小気味いい音と共に回転式弾倉が回る。
「まぁ、あってるよ」
「問題は反動の制御ですね、この魔銃はそれぞれ用途が違います。ヨリツグさんが持つ銃は近接戦闘での一撃必殺、ヤテンラさんの物は中距離や遠距離と片手で携行できる射撃銃としてになります。」
…互いの用途にピッタリだな。
対人相手なら牽制にはなるし夜天羅ももしも距離を詰められた際に素早い反撃ができる。
「気に入りました?」
「そうですね、どこか店があれば考えようかと」
…だいぶ高価なのは間違いない、気軽に頂戴とは流石に言えないし失礼だろう。
「差し上げますよ、ちなみに断っても受け取りません。」
「え」
「え」
ニコニコと笑顔のアレックスさんだが発言が冗談ではないことが伝わってくる。
「さ!次の場所に参りましょう!」
……ものすごい流れるように受け取ってしまった、手に持つリボルバーを眺めてると──
「わーヤテンラ!ヨリツグ!」
うにゃん!にゃにゃ!にゃー!!
騒ぎながら角から姿を現したのはドロシーとコイスケ、だが何か焦っている…というよりは追いかけられている?
何かを倒したり壊したりはしていないとは思っている、コイスケがいるしなによりそんな音は何も聞こえていない。
ドロシーは夜天羅抱きつき、コイスケは正面を警戒していた。
俺は全員の前に出て警戒して身構える、数秒の沈黙の後に何か機械的な駆動音が聞こえてくきた。
──そしてその元凶が角から姿を現した。
「なん!?小型ロボット!?」
四つ足でカシャカシャと歩くロボット…60センチくらいのドロシーより少し小さく丸型のレンズを動かして…まずい!!
俺は解魔ノ瞳を全開放をしロボットへ距離を詰める、そしてロボットが展開した銃火器の銃口を鷲掴み発射口を塞ぐ。
ロボットは間に合わなかったのか発砲…したはいいが弾丸が内部で破裂。
その衝撃で機能を停止して前乗りに倒れ込む。
「ドロシーこれはどうしたんじゃ?」
夜天羅が抱っこしているドロシーに優しく問う、少し怯えた様子で言葉を紡ぐ。
「わ、わかんない!コイスケと探検してたら動き出したの!!」
ドロシーは嘘をつく様な子じゃない、それは夜天羅もわかっているだから叱る真似はしない…
「すみませんアレックスさん、壊してしまいました?」
「いえいえ!大丈夫ですよ!私も驚いています!これが動くなんて…」
アレックスさんは俺が無力化したロボットに近づく…動かないはずだったか。
おそらくだが原因はドロシーかもしれない、このロボットを見るに"神の痕跡"である事は明白。
ドロシーは悪くないが…ドロシーの何かに反応したのだろう。
「こやつは一体?」
「昔に私がオークションで競り落とした物です、確か…あった」
パラパラと帳簿をめくり目的のページを見つけて指差すアレックスさん。
「アキレウサス・ゴーレム、神の痕跡ですね。」
アキレウサスか!まさかとは思っていたが…詰まるところ出土品か。
「わー!!怖かった!!」
「おーおー、よしよしドロシーは悪くないのじゃよ」
「アレックスさん、弁償します」
「え?あぁ!大丈夫ですよ!いいのですよこれくらい!むしろ動かないと無防備に置いておいた私が悪いですから!」
とは言ってくれるものの…悪い───カシャン……
ロボットの方から音がする、すぐに視線をそちらへ向けて警戒するが…ロボットは依然として地に臥していた。
「ん?なんじゃあれ?」
「背面からなんか出てるな」
俺は近いてロボットからそれを抜き取る…これはあれか。
「カードキーか」
「カードキー…おおあれか!シュッてやる!テレビで見たのじゃ」
「そうそう」
「それが…鍵ですか?」
俺の手元を見るアレックスさんは不思議そうに興味深くカードキーを観察している。
「あ、すみません。私これでもルーディル家を継ぐ前は考古学者をしていますて」
「そうなんですね、これはあれです俺たちの世界でいう鍵です。主に重要施設や会社に設置していることが多いです。」
「へぇ!それはそれは……ではそれはゴーレムの鍵?」




