第五十七録:身の程を知れ 二節「父の代わりに」
「ッ!?」
(増援で来ていた雑魚かッ!!ヴェネヌム・ホルストゥスが解除されて奇襲を仕掛けてきたのか!!マヌケが!!貴様如きに遅れを取るわけがないだろう!!!)
サタナエルの攻撃対象が俺から背後に現れたウトリに変わった。
俺は上段に上げられた刀でそのまま斬りかかろうとするもご丁寧に魔法陣を俺へ向けて牽制をしている。
馬鹿だな…いや、この後に及んでまだ俺たち人間を下に見て舐め腐っている。
悪魔という上位種のプライドからくるもだろうが、これが奴の命取りだ。
サタナエルと俺の違いは全幅の信頼を寄せる事ができる誰かがいる事、夜天羅が止めることなくウトリがこの場に現れた、それはなにか策があるからだ。
だから俺はただ彼女たちを信用して何の憂いもなく真っ直ぐにサタナエルの首を斬り落とすことに集中すればいい。
ウトリが振るう氷の鎌とサタナエルのハルバートが激しく衝突────パリンッ!!
ハルバートは薄氷を砕くが如くいとも容易く鎌を破壊した、氷の破片がキラキラとサタナエルの周りに舞う。
「クハハハッ!!弱者がッ!!不釣りあ──」
「砕いたわね?私たちの魔法を凝縮した氷を」
勝ちを確信して下卑た笑い声をあげるサタナエルそれに対してウトリは不敵な微笑みを浮かべた。
「カハッ!?」
(なんだ!?心臓が再生しないだと!?冷たい?まさか──)
血を吐いたサタナエルは何かを察して刺された左胸を確認した。
「凍っているだと!?ブハッ!??」
「これはお父さんの分!!」
近くに潜んでいたであろうクラリアが現れて混乱しているサタナエルの顔面をぶん殴ったさらに……。
「これもお父さんの分!!」
「ッ!!」
追加でウトリがぶん殴った、サタナエルとって2人の拳は大したことのないダメージ、しかしそれは肉体的な話で格下と見下している人間に二度も殴られる、精神を乱すのにはこれ以上ない攻撃。
「〜〜ッ!!!!」
怒髪天の怒り。声にならない声をあげて激昂、ハルバートの狂刃がウトリとクラリアに襲い掛かかろうとしたその瞬間。
ヒュン…サタナエルに向かって高速で飛来するものが一つ。
それは鉄矢、夜天羅の弓による遠距離支援攻撃。
ウトリとクラリアが退避する隙を作るための威力はなく防御させる前提の低射速。
サタナエルは夜天羅の思惑通りハルバートで矢を弾くがその一射から始まり次々に飛来する矢は吸い込まれる様にサタナエルへ向かっていく。
(〜ッ!遠くから鬱陶しい!!それに最初とは違い命中精度が異常だ!!クソッ!この─)
「詐欺師どもめッ!!」
役に立たぬ増援と踏んでいたがその実は真逆の実力、その謀略に暴言を吐く。
サタナエルは夜天羅の矢を弾きながら後退を迫られる。
「ヨリツグさん!私たちの魔法は再生を阻害します!だけど持続時間は10分くらいです!!」
「了解だ。」




