第五十七録:身の程を知れ 一節「貫かれた臓腑」
───「ゴハァ!!???!??!?」
サタナエルの左胸部に深々と突き刺さっているのは"全ての魔を遮断する神刀[壊縁]"
その刃は心臓まで到達し貫いていた。
俺はすぐさま壊縁を引き抜き首を断ち切るべく首筋目掛けて狙いを定める。
「ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ッ゛!!!」
「ちっ!!」
自身の生命の危機を察知、なりふり構わず暴れ回るサタナエルに俺は退避せざる得なかった…わかってはいたが心臓を貫いたぐらいではやはり殺せない。
流石は悪魔…生物としての強度が恐ろしく高い、だが魔力が使えない時間が長く回復能力が使えなかった、それはこの"壊縁"のおかげだ、奴にかなりのダメージを与えることができた。
(何が起きた!?何が、起きた、何が起きた!何が起きたたんだ!!!)
混乱、混乱に次ぐ混乱、サタナエルの思考がぐちゃぐちゃになり取り乱していた。
目の前の人間に傷を転移したはずだった、自身の魔法…ドロール・プロディティオが発動しなかったのだ。
(人間ごときが!!なぜあんな物を持っている!?あの小刀から感じる異質な魔力!!あれは──)
思考をまとめながら心臓の傷を回復させようとするサタナエルだがうまくいかない。
「〜ッ!!ゴハッ!ハァ…ハァッ!?」
(傷の再生が遅い!!それもこれもあの神刀のせいだ!遮断の力…恐らくゴルゴーン姉妹の姉の方か!!)
サタナエルは目の前の人間を睨むが素知らぬ顔をして短刀の血を拭いさやに納めて懐に仕舞う、悠然と余裕を見せつけるように。
その様子に怒りが湧きあがりやがて激しい殺意に変わってゆく。
───さて…壊縁の効果でサタナエルの魔力をほんの数秒遮断、あの魔法の檻は跡形もなく消え去った。
俺は刀を抜刀した…結局なんだったのか判明することなく最後まで謎だった黒い霧は消えていた。
刀を構え直して正眼に構えた瞬間に距離を詰める。
「ッ!?」
心臓を回復しきれていないサタナエルへ斬りかかる。
「な、なめ!舐めるなァ!!!」
自身を鼓舞するように声を張り上げハルバートを振るうサタナエル。
互いの武器が激しく衝突、あまりの衝撃に鉄の刃が跳ねる。
激しい攻防、絶えず火花が散る激闘の剣戟……そうだ、今はサタナエルを俺へ集中させ意識が他へ向かわないようにしなければならない。
ガンッ!!鉄がぶつかり合う、鍔迫り合いが始まりお互いに力をこめて押し負けないように踏ん張る、殺意と怒りで満ちた視線が痛いほど俺へと注がれる。
「ウラァッ!!」
「っ!?」
奴は無理やりに過剰な身体強化を使いその膂力で刀が上段に弾かれてしまう…おれの胴体がガラ空きになってしまった。
「死ねぇ!!!」
────アンタがね」




