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異世界帰還録  作者: 夜縹 空継
第四章:オーザンガール編
301/342

余談「食への執念」前編

「しっかしのう…他世界に来てまさかどら焼きが食べられるとは驚きじゃ」

「だな…八重ノ島以外とは予想外もいい所だ」

夜天羅はそう言いながら出されたどら焼き…この町ではビーンズサンドと呼ばれるお菓子を頬張る。

中の餡子は白餡だがつぶあんになっておりレモンが入っているのかさっぱりとした甘さになっている、口当たりが軽いので何個でも食べれそうだ。


「お二人の故郷にも同じものがあるのですか?」

お茶のおかわりを淹れながら疑問を投げかけてくるシルビアさん。

「ほぼほぼ同じ感じですね……異邦者が伝えたのかってくらい」

この世界は地球で言う西洋方面に近い歴史を辿っている、そこから見るに普通なら豆を甘く煮て食べるのは稀なはずだ、西洋にとって豆は食事で食べるのが一般的だろう、甘く煮る文化は主に東アジアあたり。

「その推測は当たりかもしれませんね」


「え?」

かもしれないを言ったつもりだったがシルビアさんからまさかの回答が返ってきた。

俺と夜天羅の声が重なり視線がシルビアさんへ向く。

「この地の歴史なのですが…見ての通りで冬の大地、作物が育たない不毛の地。」

「ある年の事、人々の生命線だった家畜が魔物に襲われ全滅…どうにか生き延びようと試行錯誤するも作物を育てる知識はなく、強い魔物が活発になり狩猟も難しい状況…そこに1人の旅人が現れました。」

読み聞かせの様に語るシルビアさん。

その優しく柔らかな声に俺たちは自然と聞き入っていた。


「話の腰を折って悪いのじゃが…木を育てておるのに知識がなかったのかの?」

「ええ、昔は育てると言うより元々群生していた木々から蜜を取っていた様です。昔は人口も少なかったのでそれで賄えていたそうです。」

「なるほどのう…」

育つ作物を探すより元よりこの地に耐性がある家畜を育てる方が効率的なわけだ、それに木だって外敵である虫や菌がいなく育てる意味がなかったのか。


「話の続きですが……事情を知った旅人は親切にも狩猟の手伝いをしてくれました、そこで何とか凌ぐことが出来たわけですが旅人は対価に要求して来たのは住める場所と少しの土地でした。」

「村人は旅人を歓迎して村の一員として迎えいれました、そうして旅人が始めたのが───」

「農業なわけですか」

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