第五十六録:信じる者たち 三節「黒い霧」
サタナエルはダメージ転移の能力を使い致命傷を免れた……が、異常が現れたそれは────俺にだった。
「クハッ…クハハハハハ!!!!どうやら見えた来たみたいだなァ!!貴様の限界がッ!!」
薄皮一枚、俺の首が斬れた。
……どうやら解魔ノ瞳が能力の底を見せ始めた、俺は親指で首をなぞり血を拭き取る。
今はまだ薄皮一枚だがあとどうだろう…数十分もすぎれば限界を迎えるかもしれない。
この檻をどうにかする必要が出てきたな…魔法の起点はサタナエル。
危うい状況だが焦りは禁物、事を急くと隙を生むそれが命取りになる。
心に余裕を持たなければならない、俺は一度大きく息を吸いゆっくりと息吐く。
仕方がない奥の手の一つを出すか……。
集中しては刀を構える、奴は必ず調子に乗る…そして俺の攻撃に対して寛容になるだろう。
(ヴェネヌム・ホルストゥスを解除しなくてよかった!!これから奴は攻撃の手を緩めるだろう!私を攻撃すればいつ自身に返ってくるかわらない!!さぁ!不様に───)
俺は余裕の表情を浮かべているサタナエルに対して接近して刀を振り上げる。
ガァンッ!!!驚愕の表情を浮かべるがハルバートで受け止めたが俺はそのまま家屋の瓦礫まで押し込み破壊しながらさらに押す。
(〜ッ!?コイツ!?狂っているのか!!自分にいつ傷が帰ってくるかわからない状況だぞ!?それをッ!)
「ガァ!!」
俺の突進は止まりサタナエルは大きな瓦礫の壁を背にしてハルバートを両手に持ち耐える。
ガリガリとせめぎ合う中、再び異常が訪れた。
「!?」
「!?」
俺の刀から黒い霧…の様なものが吹き出し始めた、奴のハルバートからじゃない。
何が起こっているのか混乱する、最初はサタナエルの魔法かと思ったがそうではないそれは奴の表情が物語っている。
身体に異変は感じられない、何が起きているかは今は置いていく。
サタナエルが混乱している今の状況を利用しない手はないだろう、刀が纏っている黒い霧はあたりに飛散する様子はない。
「オォッ!!」
鍔迫り合いはサタナエルに跳ね返されてしまうが即座に横凪に刀を振るった。
それを回避して距離を空けようとするサタナエルを追いかける。
(なんだあれは!?ここにきて新たな能力の使用だと!?ふざけるなよ!!)
刃を交えながら、町を破壊しながら追いかけっこが始まる。
依然として黒い霧を纏う刀…一つわかったことがある、刀を振るう度に黒い霧の軌跡を残す。
そして軌跡から一定の距離を空けると消えていく…これが相手にどういう効果をもたらすかは不明だがサタナエルへの心理的な負担は大きいはずだ。
次だ、次の攻防でこの魔法の降りを解除する奥の手をサタナエルへぶち込む。
俺の懐刀っやつをな。




