第五十六録:信じる者たち 二節「継戦」
────轟音。その激しさを増す戦闘に両者ともに周りを気にする余裕はない。
すでにヴェネヌム・ホルストゥス内にまとも家屋などなく廃墟とかしていた。
(おかしい!…異常だぞッ!?)
「ッ!!?」
俺は瓦礫の中から舞う煙に姿を隠してサタナエルに奇襲を掛けた。
渾身の兜割りは受けられてしまうが関係ない、受けたサタナエルごと叩き潰すつもりで兜割りを仕掛けている。
「グオォ!!」
狙い通り。俺の兜割りを受け止めているサタナエルの地面は割れて片膝をついていた。
このまま押し切りたいが奴も力を入れて耐えていた、より押し込み上から力を入れる。
刀とハルバートは火花を散らし接触している部分が赤熱していた。
(クソッ!どうなっている!?ヴェネヌム・ホルストゥスを展開してから1時間は経過している!なのに!一向に上限が見えない!!)
「オ゛ォ゛ォ゛ッ!!!」
「っ!?マジか!!」
明らかに上から力を掛けている俺が優位にも関わらず跳ね返される、サタナエルはそのまま横凪にハルバートを振り回す、たまらずに俺は距離を空けて回避。
急激な膂力の強化…その代償は───
「ハァーッ!ハァーッ!」
筋繊維の破壊…肉体の限界を超えた超強化の使用だ、魔法や魔術の恐ろしい所が自分への負荷など度外視にすれば安易に限界を超えれる所だろう。
だがその結果、不要なダメージを背負った…確かに状況の打破はできたがデメリットしかない行為。
しかしそれは普通の場合、奴には再生能力がありそのデメリットを帳消しにしている。
「…?」
俺は違和感に気がつく、再生が遅い。
……恐らくだが奴にとってこの檻は消費が激しい、奴の予定ではこんな長時間に渡って魔法を展開するはずではなかったのだろう再生が遅れるほど無理をしている。
お互いに長期戦は不利になる、奴がそれに気が付けばこの檻を解除して再生や超強化へ魔力を回すはずだ。
今…この状況が俺にとって有利かもしれない。
俺は有利だと判断してサタナエルへ距離を詰める、それに対して奴は近づかれたくないのか周りに魔法を展開して弾幕を張る。
雨あられの様に降り注ぐビームの様な魔法、斬り払いながら接近を続けてジリジリと詰めてゆく。
(再生が遅い!!奴もそれに気がついて攻めてきている!!ヴェネヌム・ホルストゥスを解除するか?いや!ダメだッ!!)
魔法を掻い潜り刀の距離まで接近、斬りかかるもガードされ再びハルバートと刀が舞い火花が踊る剣戟が繰り返される。
(ドロール・プロディティオさえ発動すれば!!一撃…一撃でこの戦いが終わる!!)
「しまッ────!!」
下段から刀を振り上げてハルバートを上に弾く、そして返す刀で首を切った。




