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異世界帰還録  作者: 夜縹 空継
第四章:オーザンガール編
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第五十五録:敵対する者 五節「毒の園」

「私のドロール・プロディティオがわかったからと言ってどうと言うんだね?」

「お互い様だろ」

俺を見下し煽る様に吐き捨てるサタナエル、それは奴も同じなはずだ…もしや解魔ノ瞳を突破する術があるのか?

「クハハハッ!!私にはない物があるだろう!?」

奴になくて俺にある?ますますわからないがそれが解魔ノ瞳の攻略に繋がるのだろう。


「察しが悪いですねぇ!!貴様には上限があると言ってるんですよッ!!!」

その言葉と共に俺に向かい瞬時に距離を詰めてハルバートを振るうサタナエル。

あぁ…なるほど────

「そんなことか」

「なにッ!?」

ハルバートを刀で受け止めるとその衝撃で足が地面に食い込む、そのまま鍔迫り合いになり互いに睨み合う。


「そんなことだと!?強がりはよくないなぁ!」

「……」

サタナエルがやろうとしている事は単純だ、解魔ノ瞳のオーバーヒート。

確かに奴の言う様に上限はあるだろう…しかし──

「悪いな、俺ですら上限はわからん」

「!?」

なにせ地球にいた頃は夜天羅の邪気を常に解体してきた、あの邪気をだ。

正直な話…自分でも限界がわからない。


「ま、やれるならやってみな」

「戯言をッ!!」

俺は鍔迫り合い状態のまま刀でハルバートを押し込み下段へ薙ぎ払うと互いに距離が空く。

「その強がりがいつまで続くか見ものだな!!」

サタナエルはハルバートを地面突き刺す、すると魔法陣が展開した。

範囲が広い…避けるのは無理だな、それにこれは俺を逃さな為の魔法。


サタナエルはまるで紳士の様に胸に手を当ててお辞儀をするというなんとも白々しい挑発。

「失楽園"ヴェネヌム・ホルストゥス"…ようこそ地獄の園へ」

完成したのは鳥籠、それも棘の様に絡み合った有刺鉄線で形作られた不気味なものだった。

半径は…どれくらいだろうか?100か200か、何にしろ広範囲の檻だ。

「貴方に絶望を与える為の毒の園です、思う存分に堪能してください。」


毒か…恐らくは魔法が直接身体に作用するタイプ、有機的な毒薬を撒いているわけではなさそうだ。

奴は俺が夜天羅の邪気である魔王ノ宿木という強力な毒を解体し続けていたことを知らない、そこに隙を作り奴を仕留める。

俺にもわからない解魔ノ瞳の上限、すぐに限界が来るなんて事はないだろうが早めに仕留めるに越した事はない。


「さて…去る者は許さず入る者は拒む事のない檻、この濃密な瘴気にどれぐらい耐えれるか見ものですね。」

サタナエルはペラペラとご丁寧に能力の説明を始めた、よほどこの魔法に自信があるらしい。

刀を正眼に構えて奴との距離を測り牽制し合う、サタナエルの狙いは時間稼ぎ。

同時に動き出し接近、再び激しい剣戟に火花が舞う。


「ぐっ!」

「ガァ!!」

俺は左肩、サタナエルは右脇腹と互いの武器がヒットし傷を負う。

奴の方がダメージは大きい…が、俺の傷も無視できるものじゃない。

あと四、五度同じ規模のダメージを喰らえば戦闘に支障が出る。

奴には再生能力がある分こちらが不利、面倒な事この上ないな…まぁその分こっちは別の方法でアドバンテージを得るだけだ。

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