第五十五録:敵対する者 四節「結局の所。」
轟音、家屋が無惨にも崩れて壊れていく…俺とサタナエルの戦闘は激化する一方だ。
一切合切を破壊する勢いでハルバートで暴れて回る。
「……」
「……」
互いに無言で武器を相手へ向ける、家屋が瓦礫に変わり轟音を立てて地面へ虚しく転がる。
……攻めあぐねている、実力は拮抗…些細な一手が命取りだ。
あの姿になってからの手の内がわからないのが問題だ、さっきからハルバートによる近接攻撃しかしてこない。
アブソリュート・グレイシャルの時の様に氷の魔法を使ってこようとしない、性質も変わったのだろうか?
(つくづく!!煩わしい人間だッ!!なぜ実力が拮抗している!?なぜ私は奴の攻撃に脅威を感じている!?本来の姿へ転生したのだぞ!!)
「貴様は──ッ!!」
何かを喋ろうとするサタナエルしかし俺は問答無用で攻める、総合的な力は拮抗しているが心理戦では俺が有利。
奴は自分の能力が効かない事に困惑しているしそれを解明したいはずだ、命取りになる可能性が高いからな。
俺に気になる事があるとすれば何故斬ったはずのサタナエルが斬れてなかったのか疑問だが…そのカラクリもわかってきた。
俺の推測は恐らく当たっている。
サタナエルの能力には使用するための"溜め"もしくは使用難易度が高いかだ、斬撃が通用しないわけじゃない、もし斬撃が通用しないならサタナエルにもっと余裕があるなにより俺の攻撃をガードしているのがいい証拠だ、つまり無敵じゃない。
なら"斬れない事がある"その前提を頭に据えて刀を振るえばいい。
(〜ッ!!クソッ!もう3度もドロール・プロディティオを発動している!偶然や一度限りの力ではない!まさか…魔法無効化の魔眼!?いや!あり得ない!この人間は魔力を扱っている!それは摂理に反する!!)
「しま──グァッ!!」
俺はサタナエルのハルバートをいなしガラ空きの胴体へ前蹴りをお見舞いしてやる。
吹き飛び破壊された家屋の壁をさらに破壊、奥に消えていった。
サタナエルがすぐさま出てくる事を予測して俺は近場にあった木の丸太を全力で投げつける。
瓦礫から出てきたサタナエルは視界に映る丸太に驚愕しつつもハルバートで粉砕。
「この!!?」
さらに追い打ちをかける様に死角からそれも低姿勢の状態から刀を振るう。
刀はサタナエルの首を軽く斬りつけただけで間一髪避けられる。
(コイツ!私に考える隙を与えないつもりか!?小癪な!!だが…掴んだぞ!奴の魔眼の正体を!!)
「クハハハ……」
「?」
…不気味に笑い出すサタナエル、俺は警戒し奴を注意深く静観する
「人間…お前の魔眼は解体だな?」
「へぇ」
流石は地獄の主なことはある、俺に気が付かれない様にして色々と試していたのだろう。
だが…正体がわかった所でどうしようもない。
「魔法の解体…厄介な魔眼だ、しかし───」
「そういうお前は反射…いや傷の転嫁だろ」
「ッ!?」
サタナエルの顔色が変わった、奴も俺の解魔ノ瞳の能力にたどり着いたがそれはこちらも同じ、サタナエルの能力を理解した。
三…四度か、身体に違和感を覚える事があった。
最初は奴に誘われて袈裟斬りにした時。
それからの攻防で三度だけ奴を斬れない事があったがどれも急所か致命傷になり得る場所、それは俺が身体に違和感を覚えた部分と全て一致する。
ただの反射魔法なら俺に有効だ、サタナエルが困惑する理由にはならない。
反射なら攻撃を跳ね返すだけだから起きる現象はただの斬撃とさしてかわらない。
なら可能性が高いのは純粋な魔法攻撃、魔法により生じる物理的な現象ではなく呪詛や呪い返しの様に身体を蝕む物だろう…そこで行き着いたのが傷の転嫁、これなら斬ったにも関わらず斬れないという矛盾に説明がつく。
なんせ斬ったのは事実でそれを相手に転嫁させるだけだからな。
そりゃあ…あんな余裕の態度にもなる、致命傷を受ければそれを相手にそのまま返せる。
強力な能力だ、本来なら能力が判明してもどうしようもない…まぁそれはお互い様か。
溜めか使用難易度か…どちらにしても能力が使えない隙が生まれる、俺はその隙を見逃さずにサタナエルを斬ればいい。




