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異世界帰還録  作者: 夜縹 空継
第四章:オーザンガール編
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第五十五録:敵対する者 二節「最も神に愛された傲慢」

─────氷壁を砕く手が一瞬止まる、この邪魔な壁の外で何かが起きた。

膨大なエネルギーが膨れ上がったかと思えば次の瞬間には消えた…かと錯覚するほど凝縮された、まるで10階建ビルが手のひらサイズの球体に圧縮されたかの様にだ。

得体の知れない気配と圧力を感じ急いで氷壁を破壊していく、あと二枚…ほんの一分で壊し終える。


バリンッ…….…最後の氷壁を破壊、陽が強く差し込むすぐに外に出てアブソリュート・グレイシャルの方へと視線を向けた。

「なんっだあれ!?」

視界に映ったのは白く石膏の石像の様に白く固まっているアブソリュート・グレイシャル、なぜかはわからないが自爆で巻き込んだ右側が再生させていた…首ではなくだ。

その異様さに息を呑みあらゆる可能性が頭の中に駆け巡っていく。


ただ───やることは決まっている。

破壊だ、石像化した奴を完膚なきまで叩き潰して破壊する、それ以外の選択肢はない。

何かしらの魔法の可能性はあるが俺には解魔ノ瞳がある身体への害は瞬時に解体される故に前進。

脚に力を込めて一気に距離を詰める…嫌な感じだ接近しているというのに何の反応も示さない、不気味な事この上ない。

「なっ!?」


俺は急ブレーキを掛けて急停止、約十メートルの距離を空けてアブソリュート・グレイシャルと相対する───奴が前触れなく崩れ落ち始めた、ガラガラと音を立てて崩れゆく。

「なんなんだ…いった──!!!」

全てが崩れ煙の中に人影が見える…明らかな異常事態が起きている、自然に警戒心が最大まで上がる。


無関係…なわけがないだろう。

最良の可能性はアブソリュート・グレイシャルを倒した人物。

最悪の可能性はあの人影がアブソリュート・グレイシャルだと言うことだ。

俺は息を整え刀を鞘から静かに引き抜く、正眼に構えその人物が姿を現すのを待つ。

段々と濃くなる影、悠然と歩みを進めている。

俺はその様子に余裕を感じた。


───そして、ついに人影が姿を現した。

俺は警戒しつつ観察をする、現れた淡麗な顔の灰色のミディアムロングヘアの男。

トレンチコートに神父が着用するアミトゥクスとストラを着用していたが…そのどれもが逆十字、背には天使の様な翼と悪魔の様な黒い翼。ソイツは翼を使い羽ばたかせ煙を払う…

「あぁ…やはり良いものだな、本当の自分を曝け出すというのは、なんとも清々しい。」

右手で髪をかきあげて馴れ馴れしく言葉を投げかけてくる男。


「そうか…念の為に聞くがお前はアブソリュート・グレイシャルか?」

やつの言葉から味方である可能性はないと断言していい、俺がわざわざ敵に問いを投げかけたのは理由がある…最初は些細な"気になる事"だったがとある関連性が隠しきれない。

「あれ?もしかして気が付いていたのかい?きみの"それは"当たりじゃなないかな?私は────サタナエルだ」

「…今、確証に変わった」

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