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異世界帰還録  作者: 夜縹 空継
第四章:オーザンガール編
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第五十五録:敵対する者 一節「反転:666」

俺はアブソリュート・グレイシャルの反撃を察知、奴は氷壁を崩したその懐に魔法陣を待機させていた。

今ならまだ回避が間に合う……ここは無理せず回避を…いや、だめだコイツに回復の猶予を与えてはいけない。

踏み込んだ足にさらに力を込めて地面を蹴り前進。


「ッ!?」

(普通は後退するだろうがッ!!何を考えているだこの人間はッ!?クソッ!この距離じゃ本命の攻撃が当てれない!!)

苦渋の表情を浮かべるアブソリュート・グレイシャルは仕方なくといった様子で魔法陣から針の様なつららをまるで霰が如く放つ。

弱い、恐らく本命はもっと別の大技だっただろう…前進して正解だ。

鋭いつららが弾丸の様に遅い来る…が、解魔ノ瞳を全開放した俺にとってはただの小さな霰と大差ない。


俺が止まらない事もダメージになっていない事もわかっているアブソリュート・グレイシャルは焦りの表情を見せる。

あの最初の自爆をもう一度できるほどの体力を残していないもしくは何かの準備を優先しているかだ。

直感での俺の判断は後者、何かを企んでおりそれを優先しているこんな今際の際にだ。


俺が奴の首を全力で蹴り上げるか殴れば弱った首は飛ぶだろう、例え魔法防御をしても今の出力では俺の方が上。

…拭えぬ不信感を抱きつつも俺はついに徒手格闘の距離まで詰める。

「舐めるなぁッ!!!」

アブソリュート・グレイシャルは残った左腕に魔力を集中……この感じまさかっ!!

危険を察知しすぐさま防御へ行動を切り替えた。


その瞬間──── アブソリュート・グレイシャルと俺は氷に覆われる…間一髪、防御が間に合った。

やられた!!自爆はないと俺の中で選択肢から消していたがまさか自身の右半身を捨てての自爆。

俺は拘束している氷を力尽くで壊したが、念入りに閉じ込められた。

しかもご丁寧に多重の氷壁!クソっ!奴に回復の隙を与えてしまった!!


────「ガァッ!!ッハァ!ハァ!!」

(2度も!2度も捨て身をッ玉砕の攻撃をさせられた!!!)

たかが1人の…今まで餌に過ぎなかった1匹のたかが1人の人間に追い詰められている事実。

到底受け入れ難い事実、しかし自身が受けた瀕死のダメージが否が応でも事実を受け止めざる得ない。

狂いそうなほどの激情がアブソリュート・グレイシャルの中を暴れ回る。


「このッ…ハァッ…ハァッ……ッこの屈辱は貴様の死を持って…いや、ルーディルとあの町の住人全員の死を持って償わせてやる!!」

(酷く中途半端だが致し方ない!!)

何重もの氷壁を破壊する音が段々と近づいてくる、あと数分であの人間が氷壁を全て砕きまた猛攻が始まるだろう


そうなれば防ぎ切ることはできない、もうアブソリュート・グレイシャルに迷っている暇はない、あれをやるしかない。

温存していた魔力といままで貯蓄していた700年分の魂のエネルギーを集約。

「……"天令堕落・廻生式"発動ッ!!」

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