第五録:段取り 一節「ギルド」
「いやー美味しい料理じゃったの!義母様とはまた違った洋風の味じゃな〜」
「そうだなぁ」
俺の隣に座りコイスケを撫ででいる夜天羅、出された料理はどれも美味だった俺たちの世界でいう西洋に近い味と料理で日本で言うジャーマンポテトの様な料理が出てきたがあれが一番美味しかった。
それに豆と肉の腸詰のスープも美味しかった、どちらも家庭的な味。
うにゃんにゃん!!
「そうだな、コイスケもご馳走だったな」
俺たちの会話に参加する様に鳴き声をあげるコイスケも火を通してほぐした肉と豆をトッピングした物
セイナさんに聞いた所この世界では割とよくある猫のご飯それの豪華版らしい。
「お前様様、明日は朝からギルドとやらに?」
「だな、営業開始が9時だからそれに合わせてな」
傭兵ギルド、主に戦闘を用いる依頼を取り扱っている組織、朝は依頼を受けに来るため混雑するが登録の受付は別口になるので比較的に空いているらしい。
「目当ての依頼があるといいのう」
「こればっかりは運次第だな…」
登録して直ぐに依頼を受けれるか微妙だそれに恐らく試験もあるだろう、最悪依頼を受けれなくてもギルド登録は今後の旅に役に立つ。
「ま、なる様になる」
「じゃな〜」
互いに気の抜けた返事をした、ゆったりとした時間が流れる。
「ふぁ…」
夜天羅が一度大きくあくびをした時計を見ると日付を超えそうな時間。
「じゃあ、明日に備えて寝るか」
「了解じゃ〜…んっ…」
そう言って夜天羅は軽い口付けをして立ち上がった。
「おやすみ」
「おやすみなのじゃ」
就寝の挨拶をして夜天羅は隣のベッドに入った。
俺も明かりを消してベッドへ寝転ぶ、昨日とは違う柔らかな布団が身を包むその心地よさにすぐに睡魔がやってきて抗わずに睡魔に身を任せる。
…顔に何か触れている、柔らかな何かだ、覚醒しない頭でぼんやり考える…次に湿ったザリザリした感触が頬を撫でたこの感触は─
「コイスケ…おはよう、もう朝?」
寝ぼけ眼でコイスケを見る、俺の顔の隣にちょこんと座ってじーっとこちらを見ている、俺は視線を移動させて時計を見ると朝の7時…起きるにはいい時間だ上半身を起こしコイスケを撫でた。
うにゃん
隣で夜天羅が寝ているからか小さく鳴くとベッドから立ち上がり大きく背伸びをした次に夜天羅の元へ向かい彼女を優しく起こす。
「夜天羅」
「んぁ…?お前様?」
目を開け、いそいそと上半身を起こす。
「おはよう、夜天羅」
「おはようなのじゃ、お前様」
俺は起き抜けの彼女の頭の髪を手櫛で少し整えてその後、洗面台を借りて軽く身支度をしてから全員で
リビングに降りた、リビングではセイナさんが朝食の準備をしていた、扉が開く音がして視線を向けるとお店側の扉からリグレさんが現れる。
「お二人ともおはようございます」
「おはようなのじゃ〜」
「ヨリツグさん、ヤテンラさんおはようございます」
「おはよう、朝食はもうすぐできるので座って待っていてください」
挨拶を済ませて席についたそれから、遅れて起きてきたリリーちゃんが席について皆で朝食をいただいた、その後少ししてから俺と夜天羅は外に出る準備をして扉へ向かった。
「じゃあ、ギルドへ行っています」
「すまないねセイナ少しの間、店をお願い」
「えぇ、行ってらっしゃい」
「行ってらしゃーい!!」
セイナさんとリリーに見送られ仕立て屋を後したリグレさんに道案内される事、数十分…大きな建物に着く、様々な装備に身を包んだ人々が入っていくここが傭兵ギルド。
「リグレさん、道案内ありがとうございます」
「助かったのじゃ」
にゃんにゃー
わざわざ仕事の時間をさいて案内を買って出てくれたそれに全員で感謝を告げる。
「いえいえ、あとは受付が案内してくれます。私は店に戻りますがお二人もまたウチに来てください」
「わかりました」
「ではのちほど」
リグレさんは来た道を引き返して去っていく、俺たちは前を向き扉を開けてギルドへ入ると中は広く、人で混雑していた長い列をなしている受付と違い数人しかいない受付があった。
看板をみてみると"登録・更新受付"俺たちはその受付へ向かい短い列に並ぶと十分ほどで受付のカウンターに着いた、整った身なりの女性が整った姿勢で書類から俺たちに視線を移す。
「二人、登録をお願いします。」
「…新規登録のお客様ですね。」
少し間があったのは夜天羅が珍しいだからだろうか…受付の女性は慣れた手つきで書類の準備をして俺たちの前に紙とペンを差し出した、内容は契約条件がつらつらと書かれており下の方に署名欄があった。
ペンを持ちサインをしようとした時。
「身分証明書をお出しください」
静かに女性は言った、青天の霹靂だったペンを持った手が止まる…ヤバい言われるまで気がつきもしなかった、言われれば当たり前だが頭からすっぽりと抜け落ちていた。
夜天羅に至っては動揺して目が泳ぎまくってる俺も冷や汗が出てきた、ど、どうしようか─
「おや!ヨリツグさん、ヤテンラさん!」
活気のある男性の声が聞こえてきた、振り返るとそこいたのは────




