第四録:平穏な村 五節「暖かな団欒」
再び裏口が開く音がした。
「ただいまー!!」
「ただいま」
元気な声と共にリビングへ入ってきたのはリリーちゃん、遅れてセイナさんもリビングへ。
「リリー、セイナ、おかえり」
「お二人ともおかえりなさい、お邪魔しています」
「お邪魔していますのじゃ」
うにゃんにゃー
俺たちはセイナさんへ挨拶をした。
「えぇ、どうぞごゆっくりしていってください」
「ください!」
柔らかな笑顔でセイナさんがこちらへ返事を返してくれてリリーちゃんからも元気な返事がありその様子から体は問題なさそうで一安心。
しかし…治療院か、この世界の医療はどうなっているんだろうか?魔法的な施術?
そんな事を考えているとセイナさんはリリーちゃんに冷蔵庫らしき物から冷たい飲み物を取り出して渡すと二人もリビングに座り6人全員でテーブルを囲む。
俺たちの対面にリグレさん、セイナさんが座りその横にリリーちゃん、セイナさんは一息つきこちらへ向き口を開いた。
「改めて…ヤテンラさん、ヨリツグさんお二人のおかげでリリーに大きな怪我なく無事でした、ありがとうございます。」
夫婦二人に頭を下げられる。
「僕らもリリーちゃんに怪我がなくてよかったです」
「そうじゃよ、何事もなくてよかったのう」
それからは穏やかな時間が流れた、夜天羅とコイスケはリリーちゃんの遊びの相手、セイナさんは食事を用意するといい台所へ向かい俺たちに食事を振る舞ってくれるようだ。
その間に俺はリグレさんに金貨の価値を聞く。
どうやらかなり価値があるみたいでプレート金貨は日本円で100万ほどの価値でこの世界での平均的な月収の2.5ヶ月分。
他にも聞いた感じは金貨一万、銀貨1000、銅貨500、鉄硬貨100という解釈さらに一応はプラチナプレートと呼ばれる物があるがこれがプレート金貨10枚分、大金だ…。
それ以外にも気になっていた治療院についてはやはり魔法、魔術で傷を癒す治癒は高等技術のようで初級から上級までで上級を扱える者は状況によるが失った部位まで再生できる。
中級でさえ部位さえあれば治せるし少しの欠損なら補完、何というか…すごいな魔法、現代医療を超えている。
この世界の聞きたい事はあらかた教えてもらった、あぁ…そうだ大事な事を聞かないと─
「リグレさん、ルスティアまでの移動手段なんですがこの町から馬車だったりは出てますか?」
「えぇ出てはいますが今予約が殺到しているでしょう…最短でいつになるのか」
あの魔物のせいで運行停止していたんだろう、倒された今混雑しているのは明白だ。
まぁ焦る旅でもない、のんびりしすぎもダメだかこれは仕方がない。
「ただ…荷馬車の護衛任務があれば同乗は可能かと思います、今日はもうギルドは閉まっていますが明日行ってみてはどうでしょう?」
なるほど…護衛、その手があるのか、依頼があれば助かるがギルドとなると登録したりしないとだめだろうなあとは宿泊する場所だけだが…
「…そういえばお二人はどこに宿泊をなさいますか?」
まさに聞きたい事を問うてくれるリグレさん
「それなんですがこの町の宿屋を教えてくれませんか?」
「よければうちの部屋を使いませんか?」
「え?」
んんーにゃん?
急に遊んでいる手が止まり首をかしげるコイスケ
俺と夜天羅は同時に反応した。
ありがたい提案だ…しかし服まで作ってもらう上に泊まる場所まで提供してくれるのはさすがに受け取りすぎだ。
「リグレさん、ありがたいですけどさすがに…」
「えー!泊まっていかないの?…」
声を上げたのはリリーちゃんその顔は残念そうなしかし懇願するような表情をしていたそのリリーちゃんの上目遣いに夜天羅は─
「と、泊まっていくのじゃ…」
おもいっきり絆されていた、しゃーない…これは抗えない、かくいう俺もだいぶ心が傾いた。
「娘もこう言っているわけですし服を仕立てる際にも都合が良いですし」
「じゃあ…お言葉に甘えて、お世話になります。」
俺たちはそのご好意に甘える事にした、決め手はリリーちゃんではあるが…そうこう話しているとリビングに食欲を誘う良い香りが漂う。
「食事ができましたよー」
セイナさんがキッチンの方から料理を持って現れた。
「ありがとうセイナ、今手伝うよ」
席を立ちセイナさんと入れ違いでキッチンに向かう、こう…なにも手伝わずにみているのはソワソワとしてしまう人の家というのもあるが…準備が終わり皆で食卓を囲む、テーブルの上には豪華な食事が並んでいた腕によりをかけて作ってくれたのがわかる。
「さぁ、食べましょう」
セイナさんの一声の後に食事を楽しむ、料理はどれも美味しく主食のパンによく合うどんどん食べる手が進んでゆく、和気藹々とした食事を終えた後はリビングでゆったりと過ごした。
夜も更けた頃、リリーちゃんは眠そうに目を擦ったセイナさんはその様子を見てリリーちゃんを部屋に返す。
それを見届けた後、俺たちはリグレさんに部屋へ案内してもらう、用意されたゲストルームは普段から
清掃されているのか綺麗に整えられていた友人、知人が宿泊するためなのかベッドは二つあった
部屋の広さも夜天羅と二人で過ごすなら充分すぎるほど、改めて至れり尽くせりだなと感じる。
「ありがとうございますリグレさん」
「ありだく使わせてもらうのじゃ」
リグレさんのご好意に感謝を告げる
「いえいえ、それでは…ごゆっくり」
扉を閉めて部屋を退室したリグレさん、俺と夜天羅はベッドへ腰掛けコイスケもベットで丸くなる。




