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取り戻すために 7






そして迎えた、面会の日。


ナナの希望で、うちのサロンではなく、近くのレストランに部屋を取った。


ナナ曰く、うちのサロンに変な思い出を残したくないそうだ。

ちょっと納得。



私とナナが待つ部屋へ指定した時間通りに現れたアルバート様に、ナナと私は息を呑む。


ナナは、アルバート様の変わりように。

私は、アルバート様の横にいるエドウィン様に。


「「何をなさっているのですか⁉︎」」


ハモった。見事に。




ナナとアルバート様をレストランの部屋へ残して、私はエドウィン様を外に連れ出した。


私たちがいたら、話したいことも話せないだろう。


アルバート様に2時間与えた私たちは、憧れの屋台食い倒れツアーと洒落込む事にした。


「デートだね」


ウキウキと、エドウィン様が言う。

一応ワルター王子に話は通したらしいが、お忍びという形だ。


「ソウデスネ」


感情の乗らない声で、私は答える。

まさかアルバート様についてくるとは思わなかった。

それを言うと、彼は少し笑って答えた。


「レティに、早くアピールしたくてうずうずしてるんだ。

機会は逃さないよ?」


そうだ、この人こういう人だった。

私は正論を吐くのを諦め、屋台を楽しむことに決めた。


串焼き肉、一口ケーキのようなもの、フルーツのドリンク……私たちは、時々シェアしながら、目につく屋台をハシゴして回った。


美味しくて、思わず顔が綻ぶ。

それを、ウィンは嬉しそうに見ている。


ポツポツと、離れている間にあったことを話すと、彼は少し寂しそうに微笑(わら)った。


「レティは、私が居なくても大丈夫なんだね……」



私は、苦笑した。

そうなるように、頑張ったからね。

貴方が()()()()ことは、『知って』いたのだから。



「そうですね、大丈夫です」


ニヤリと笑って言ってやる。意地悪だなぁ、と、彼は笑う。

そこにはでも、暗さは一切無くて。


「私は無理だからね、レティ。

何度でも言うよ。君が必要なんだ。


——だから、君の隣に在れるよう、頑張るよ」



絶対諦めないという決意が、その眸に見える。


「以前、君と話していた孤児院の運営方法、私の領地で試したんだ」


私たちが座っているベンチの前には、大きな噴水があって、子どもたちが、はしゃぎながら水遊びしている。


その音を心地よく聞きながら、目線で続きを促す。


「学校との併設で、近くの貧民街の子供達と一緒に教育する方法だよ。


貧民街の子供達は、学校に来ると、親兄弟も炊き出しを食べれるようにしたら、通ってくれる子が増えたよ。

君の言う通りだった」


「そうですか。良かったですわ」


私は、心から微笑(わら)う。

その笑みを眩しそうに見て、彼は言い募った。


「私も、頑張ったよ」


「はい。分かっておりますわ」


「じゃ、ご褒美を貰ってもいい?」


あっ、久々に見る黒い微笑み。

私の意志を確認する前に、左手を取られる。


そのまま立ち上がらせられると、手を握ったまま歩き出す。


「そろそろ時間になるよね。


店まで、このままでね」






——あんまり嬉しそうに笑うから。


しょうがない。許してやるか。




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