↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
境界守と九官鳥  作者: 俐月
間継屋敷編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
28/47

機密任務、伏兵モモリ



「ハキオさん、いつもお疲れ様です」


「ハッ、冬吾サマ! すいやせんすいやせん、冬吾サマがいらっしゃることにも気付かず。さささ、お通りください」


「いえいえ。いつも綺麗にしてくれて、ありがとうございます」



にっこりと微笑みながら隣を通った秋臣は、ハキオがいる地点から、間継までの部屋の距離を目測する。


彼の掃除は完璧だが、時間がかかる。少なくとも二十分はかかりそうだ。

仕方ない。タイミングを見計らうのも、作戦のうちだ。


そうして自室に入ると、座椅子に腰掛けて、時計を見た。



「こんなことなら、あの時遠慮せずに、間継さんの隣の部屋にしてもらうんだったなぁ」



この屋敷に住みこむことになった時、最初は十畳の部屋に通されたのだ。しかし、あまりにも広すぎて居心地が悪いと、この六畳半の部屋にしてもらった。


隣の部屋なら、さっと入れたかもしれないのに。

迷惑料の代わりに、家賃はいらないと言われていて、さすがに気が引けたのもあったが……



「モモリさんを味方につけられたら強いんだけどなぁ」



いや、これは自分の機密任務だ。彼女を巻き込むわけには行かない。


秋臣の作戦、それは、間継に休暇を取らせよう作戦だった。


毎日働きづめ、睡眠もほとんど取れていない彼を元より心配していたが、佐京を見て、更に心配になったというのが本音だった。

それに……



「学生らしく遊べって言うけど、間継さん、自分も学生だって自覚あるのかな」



彼が三回生であることを知ったのは最近だったが、就職のことを考え始める忙しい頃だろうに。



「まぁ、間継さんは就職しないんだろうけど」



待て。じゃあ、なんで大学行ってるんだ?

そこまで考えた時、ハキオの影が部屋の前に見えた。


そうだ、彼にこの部屋を掃除してもらえば手っ取り早い。彼は拭き掃除もプロ並みだ。

さっそく秋臣は、作戦を変更することにした。



「ハキオさん、すごい申し訳ないんですけど、僕の部屋から掃除してもらっていいですか?」


「ハッ! もちろんでごせぇやす! 冬吾サマ! 気付かず、すいやせんすいやせん。拙が鈍いばかりに」


「いやいや、ハキオさんにもハキオさんのペースがあると思うし、無理言ってすみません~」



秋臣はそう言って、さっと道を開けた。


早速部屋を掃除し始めてくれたハキオの姿を確認しながら、そっと足音を消して、奥へ向かう。

大丈夫、気づかれていない。忍び足で突き当りまで到着した秋臣が、さぁ、間継の部屋の扉を開けようとした、その時だった。



「冬吾様?」



伏兵の声がした。モモリだ。



「あ、いや。あれー? おかしいな、俺の部屋ここじゃなかったっけー?」



いつしか近くに来ていたモモリが、エプロンで手を拭きながら、首を傾げる。



「こちらは主様のお部屋でございますよ。お疲れですか? 湯の支度でもして参りましょうか?」



疑うわけではなく、不調を気にして来たモモリに、秋臣は一瞬考えた。


どうする? 彼女に湯を張ってもらっているうちに入るか? それが賢いやり口だ。

でも……



「どうなさいました? 連日のお勤めで、まさか熱でもおありとか……?」



あまりの献身具合に、彼女に嘘をつくことは、良心が許さなかった。

秋臣は勢いよく、その場に正座した。



「あの! 俺の作戦を手伝ってください!」


「……冬吾様!? およしください。私めなどに頭を下げてはなりません」


モモリの慌て用に、ハキオが部屋から顔を覗かせた。



こうなればもう……屋敷の妖怪全員を巻き込むしかない!

秋臣は、一世一代の覚悟で腹を括ることにした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。