第5話 動き始める世界
神崎 悠真
本作の主人公。
能力適合率0.00%――人類史上初の「完全不適合者」。
能力を持たないにもかかわらず、父の言葉を胸に討伐隊を目指す。
モンスター適合
適合率:0.00%
適合モンスター:該当なし
リミットリング:使用不可
ドラグーン出現から一週間。
街には、いつもの日常が戻りつつあった。
学校へ向かう学生。
通勤する会社員。
商店街には人々の笑い声も戻ってきている。
しかし、その空気はどこか違っていた。
大型モニターには毎日のように同じニュースが流れる。
『災厄級始祖種オリジン・終焉の龍ドラグーン。依然として行方は不明。』
『世界各地でゲート反応が増加。IAMDAは警戒を継続。』
誰もが、"何か"が始まろうとしていることだけは感じていた。
国立能力者養成機関。
一年A組。
今日も実技訓練が始まる。
「能力解放!」
教師・桐谷の号令とともに、生徒たちのリミットリングが一斉に輝いた。
炎。
雷。
氷。
風。
様々な能力が体育館を彩る。
「いいぞ!その調子だ!」
桐谷が声を上げる。
一方――
体育館の隅では、神崎悠真が一人、木刀を振っていた。
カンッ。
カンッ。
能力はない。
だからこそ、基礎を磨く。
「神崎!」
桐谷が声をかける。
「今日は体術だ!」
「はい!」
木刀を置き、今度は組み手。
投げ。
受け身。
回避。
能力を使う生徒とは違うメニューが続く。
「お前は能力者じゃない。」
「だからこそ、人一倍動け。」
「はい!」
その返事だけは誰よりも大きかった。
昼休み。
「神崎、一緒に飯食おうぜ!」
青木翔が手を振る。
「おう。」
木村彩花も笑顔で席へ来る。
「昨日の木刀すごかったね!」
「いや、まだまだ。」
少しずつだが、悠真の周りには人が集まり始めていた。
一方で。
「努力だけじゃ意味ねぇよ。」
「能力が無きゃ討伐隊には入れない。」
そんな声も聞こえる。
悠真は何も言わない。
ただ、静かに弁当を食べ続けた。
放課後。
訓練場。
カン。
カン。
カン。
誰もいない。
夕日だけが悠真を照らしていた。誰もいなくなった訓練場に、木刀の音だけが響いていた。
神崎悠真は、黙々と木刀を振り続ける。
汗で制服は濡れ、腕は震えている。
それでも止まらない。
一時間。
二時間。
日が沈み始めても、悠真は振り続けていた。
その様子を、校舎の渡り廊下から一人の老人が静かに見つめていた。
誰も名前を知らない老人。
生徒たちは、ただの清掃員だと思っている。
老人は腕を組み、小さく呟く。
「毎日欠かさず、か……。」
隣にいた用務員が笑う。
「変わった子ですよね。」
「能力も無いのに、誰よりも遅くまで残ってる。」
老人は目を細めた。
「努力とは、才能ある者だけがするものではない。」
「むしろ――」
悠真の木刀が空を切る。
老人はその姿から目を離さない。
「何も持たない者ほど、努力に命を懸ける。」
用務員は苦笑した。
「でも、能力が無いんじゃ戦えませんよ。」
老人は静かに答える。
「……そうとも限らん。」
その一言だけを残し、老人は歩き去る。
去り際、誰にも聞こえないほど小さな声で呟いた。
「神崎悠真……。」
「お前は本当に"ゼロ"なのか。」
その頃――
IAMDA日本支部・地下研究局。
厳重な警備の先にある巨大な研究施設。
無数のモニター。
培養槽。
モンスターエネルギー保存装置。
研究室の中央には、三つの特殊ケースが並んでいた。
その中に収められているのは、日本に三本しか存在しないリミットベルト。
ドラグーン出現の日。
第1部隊が出撃した際、三本とも深刻な損傷を受けていた。
画面には修復状況が映る。
修復率 3%
一人の男が静かにモニターを見つめていた。
黒崎蓮司。
IAMDA日本支部地下研究局局長。
リミットリングとリミットベルトの改良・修復技術において世界最高峰の研究者だった。
黒崎は小さく息をつく。
「……最低でも三か月。」
「急がねばならん。」
リミットベルトが使えない今、日本最強と呼ばれる第1部隊の三人も、本来の力を発揮できない。
日本の戦力は、大きく低下していた。
その時だった。
バンッ!!
研究室の扉が勢いよく開く。
「局長!!」
若い研究員が息を切らしながら飛び込んでくる。
「大変です!」
黒崎はゆっくり振り返る。
「何があった。」
「モンスターエネルギー保管庫が破られました!」
「何……?」
「高濃度モンスターエネルギーが大量に盗まれています!」
研究室の空気が凍りつく。
「犯人は。」
「現在追跡中ですが……。」
研究員は震える手で、小さなケースを差し出した。
「現場には……これだけが。」
ケースの中。
一本の注射器。
透明な薬液。
赤いラベル。
そこには、英字でこう刻まれていた。
LIMIT BREAK DRUG
黒崎の表情が初めて揺らぐ。
「まさか……。」
「完成してしまったのか……。」
研究室を重い沈黙が包む。
まだ誰も知らない。
その一本の薬が、
やがて能力者たちの運命を狂わせ、
日本中を巻き込む戦いの火種になることを――。
① 青木 翔
性格:明るく面倒見がいい。クラスのムードメーカー。
適合率:58%
適合モンスター:テンペストグリフォン
属性:風
武器:双剣
将来:第4部隊(特殊任務)
悠真との関係:最初から能力がなくても普通に接する唯一の友人。
② 伊藤 美咲
性格:真面目で優しい。
適合率:67%
適合モンスター:アイスフェンリル
属性:氷
武器:細剣
将来:第3部隊(救助)
③ 大沢 健吾
性格:努力家で真っ直ぐ。
適合率:73%
適合モンスター:アースゴーレム
属性:土
武器:大斧
将来:第2部隊
⑤ 木村 彩花
性格:少し天然だが芯が強い。
適合率:69%
適合モンスター:ホワイトペガサス
属性:光
武器:弓
将来:第3部隊
⑥ 斎藤 蓮
性格:プライドが高く負けず嫌い。
適合率:84%
適合モンスター:ブラッドワイバーン
属性:闇
武器:長刀
将来:第1部隊候補
悠真を見下している
⑦ 高橋 陽斗
性格:冷静沈着。
適合率:91%
適合モンスター:ライトニングキメラ
属性:雷
武器:槍
⑧ 田中 蒼
性格:落ち着いている。
適合率:61%
適合モンスター:シーサーペント
属性:水
武器:槍
将来:第2部隊
⑨ 中村 零
性格:口数が少ない。
適合率:79%
適合モンスター:シャドウパンサー
属性:影
武器:短剣
将来:第4部隊
⑩ 林 翔太
性格:明るく騒がしい。
適合率:46%
適合モンスター:フレイムウルフ
属性:炎
武器:ナックル
将来:第3部隊
⑪ 藤原 優奈
性格:分析好き。
適合率:76%
適合モンスター:ミラーフェアリー
属性:幻惑
武器:魔導書型デバイス
将来:IAMDA研究局も視野。
⑫ 松本 陸
性格:大食いで豪快。
適合率:65%
適合モンスター:アイアンベア
属性:鋼
武器:ハンマー
将来:第2部隊
⑬ 山本 美月
性格:穏やか。
適合率:72%
適合モンスター:セイントユニコーン
属性:治癒
武器:杖
将来:医療支援班




