第88話:緊急会議2
「以上になりますが、何かご不明点やご質問、ご要望などありますか?」
セレスが声をかける。
「はい」
グレースが手を挙げた。
「では、グレースさんどうぞ」
「この“パソコン”とやらは、キミが作ったんすか?」
(いきなり鋭い質問が来たな……)
「正確には、私は中身を……」
「本体は、私の部下が作りました」
(今、部下つったか!?)
「こんな凄いもん作るなんて……」
グレースの眠そうな目が、わずかに輝く。
「その人に会わせてほしいっす!」
「いいですよ!」
「今度、時間を作ります」
(勝手に決めるな!!)
「ども!!」
グレースは満足そうに頷いた。
「常に技術開発室にいるんで、いつでも来てほしいっす」
それを聞いて、セレスはニコっと笑う。
「他に質問のある方はいらっしゃいますか?」
「よろしいですか?」
ガルドが手を挙げた。
「ガルドさん、どうぞ!」
「通信販売についてお聞きしたいのですが」
ガルドは、真剣な表情で続ける。
「購入希望者は、実際に手に取って商品を見ることができない」
「それでは、購入時に戸惑いや躊躇することもあるのではないでしょうか?」
「おっしゃる通りです」
セレスは頷いた。
「そこで、商品ごとにレビュー機能を付ける予定です」
「レビュー機能とは?」
「実際に商品を購入した人が」
「その商品の良し悪しを発言できる仕組みです」
会議室の空気が、少しだけ動く。
「購入者の感想が、次の購入者の判断材料になる」
「良い商品には良い評価が集まり」
「悪い商品には悪い評価が集まる」
「つまり、商品そのものに信用が積み上がっていきます」
ガルドの目が鋭くなった。
「なるほど……」
「実際に買った者の声ならば、説得力がありますね」
「はい」
「さらに、レビューをした利用者には」
「次回購入時に使える値引きサービスの特典を付けます!」
「それはすごい!!」
ゲルドが声を上げた。
「感想が増えれば増えるほど、売り場が勝手に育つってことですよね!」
「ええ」
セレスは頷く。
「評価の高い商品は、それだけで宣伝効果も見込めます」
カザフが静かに頷いた。
「信用を、客自身に積み上げてもらうわけですな」
「商人として、実に興味深い仕組みです」
「その通りです!」
セレスは明るく答えた。
そのやり取りを見て…
(こいつらはいったい誰に説明してるんだ?)
「他に質問はありますか?」
部門長たちは、それぞれ考え込むように沈黙した。
だが、その沈黙は先ほどまでとは違う。
戸惑いではなく。
理解したうえで、次を考える沈黙だった。
「では、私からは以上です」
セレスは椅子から立ち上がり、軽く頭を下げた。
「ありがとうございました!」
アメリも静かに一礼する。
「シオリ様、ありがとうございました」
「それでは最後にバルド様」
「お願い致します」
全員の注目が集まる
「……え?」




