第86話:交わる商路
デウス商会。
二人の男がモニター越しに、ユウトたちの様子を観察している。
「『パーソナルコンピュータ』」
「『略して、パソコン』」
画面の中から、少女の声が響く。
「……」
「パソコンまで開発しているなんて……」
そう呟いたのは、転生者であり、“妙算”のスキルを持つシュウイチだった。
少女の言葉に、驚きを隠せない様子だった。
「ほう……」
「転生者の君が、そこまで驚くとはね」
もう一人の男が、小さく感心する。
その男こそ。
デウス商会の代表。
そして、魔王。
ルイス・デウスだった。
「パソコンさえあればなんでもできます」
「どないします?」
「こっちもパソコンを作って、競合しますか?」
シュウイチが尋ねる。
「それはやめておきましょう」
ルイスは静かに答えた。
「『さらに……』」
「『インターネット』」
少女が続ける。
「まさか…」
シュウイチの表情が変わった。
「さすがにネットは無理がやろ」
「ケーブルを世界中に張り巡らせる」
「そないなこと、できるわけがない!」
シュウイチがモニターを見ながら否定する。
すると――
「『できるわ!』」
画面の中から少女が、まるでシュウイチに言ったかのように否定した。
「……」
シュウイチが固まる。
「『ねっ!』」
ルイスの眉が、わずかに動いた。
画面には、ニヤリと笑う少女の姿。
「フッ」
ルイスは小さく笑った。
「我々が提供するのは、インターネットとやらに必要な設備だ」
「バルド商会と組むんですか?」
「いいえ」
「互いに利用し合うだけです」
ルイスはモニターを見つめたまま答える。
シュウイチは、少しだけ考え込む。
「なるほど……」
やがて、シュウイチは肩をすくめた。
「それで……」
「どうやってバルド商会に売り込むんです?」
「売り込む必要はありません」
「え?」
ルイスはモニターから目を離さない。
「彼女は……」
「私の力すら、計算のうちです」
「!?」
シュウイチの表情が、わずかに変わった。
「さっそく取り掛かりましょう」
そう言って、ルイスは外へ出ていく。
残されたシュウイチは、静かに頭を下げた。
「かしこまりました」
―――
そのころ。
バルド商会。
会議室。
そこにいるのは、各部門を担当する面々。
不動産部門室長
カザフ
食品流通部門室長
ガルド
技術開発室室長
グレース
芸能メディア部門室長
オリヴィア
人事部部長
サラ
営業部長
ゲルド
副社長
アメリ
さらに――
バルド商会代表取締役。
バルド(ユウト)
(なんで俺が…)
「これより緊急会議をはじめます!」




