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最強の創造スキルを手に入れた俺、異世界で大儲けできると思ったら現代科学より上でした  作者: おりこー3


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第85話:もう1つの世界

バルド商会。


会議室。


机の上には、ユウトが必死に運んできたパソコンが置かれていた。


本体。


モニター。


キーボード。


マウス。


その見慣れない道具を前に、アメリは目を丸くしている。


「話したいことは、いっぱいあるけれど……」


セレスは、静かに椅子へ座った。


「まず、これを見てほしいの」


そう言って、セレスはパソコンの電源を入れた。


低い起動音。


黒い画面。


そこに、白い文字が浮かび上がる。


やがて画面が切り替わり、見たこともない画面が映し出された。


「これは?」


アメリが、恐る恐る尋ねる。


「パーソナルコンピュータ」


セレスは少し得意げに言った。


「略して、パソコン」


「ぱそこん……?」


アメリは、聞き慣れない言葉を繰り返す。


「何をする道具なの?」


「簡単に言えば」


セレスはキーボードに指を置いた。


「情報を記録して」


カタカタ。


画面に文字が現れる。


「計算して」


カタカタ。


数字が並び、答えが表示される。


「整理して」


画面の中に、表のようなものが作られていく。


「必要な時に、すぐ取り出せる道具」


アメリは、画面を食い入るように見つめた。


「……文字が」


「勝手に、整理されていく……」


「帳簿にも使えるわ」


セレスは言った。


「在庫管理」


「売上計算」


「注文記録」


「顧客情報」


「全部、この中で扱える」


アメリの表情が変わった。


商人の顔になる。


「……待って」


「それ、本当にできるの?」


「できるわ」


セレスは即答した。


「むしろ、得意分野よ」


「さらに……」


セレスは、少しだけ声を落とした。


「インターネット」


「いんたーねっと?」


アメリは聞き慣れない言葉を繰り返す。


「簡単に言うと……」


セレスは画面に指を向けた。


「この世界に」


「もう一つの世界を作る」


「待って、シオリ」


アメリの表情が強張る。


「もう一つの世界って、どういうこと?」


「そんなこと、できるわけ……」


「できるわ!」


アメリの言葉を遮るように、セレスが答えた。


「ねっ!」


セレスがニヤリと笑顔を向ける


「ユウトなんかは、その世界の住人ね」


「おい」


ユウトが即座に反応する。


セレスは小さく笑い、説明を続けた。


「例えば、今バルド商会で使っている端末」


「あれは、社内のデータ置き場に端末からアクセスして」


「必要な情報を見たり」


「新しい情報を書き込んだり」


「それを個別にして、メッセージとして使っているわ」


「通話もね!」


アメリは黙って頷く。


「それを、社内だけじゃなく」


「街へ」


「いえ、世界へ広げる」


セレスは画面を見つめたまま言った。


「離れた場所にいる人同士が、同じ情報を見る」


「同じ場所にいなくても、会話ができる」


「物を売る」


「注文する」


「記録する」


「学ぶ」


「遊ぶ」


「全部、画面の向こう側でできるようになる」


「それが、インターネット」


アメリは息を呑んだ。


「……それは」


「商会どころか」


「世界の仕組みが変わります」


「うん」


セレスは静かに頷いた。


アメリは一瞬ぽかんとしたあと、少しだけ笑った。


だが、すぐに表情を引き締める。


「これは……」


「全ての仕事そのものが変わります」


セレスは頷いた。


「パソコンを量産して」


「バルド商会から発売するわよ!」


アメリは、画面を見つめたまま黙り込む。


その沈黙は、迷いではなかった。


計算している沈黙だった。


やがて。


アメリは静かに口を開いた。


「……詳しく」


「詳しく説明してください」


その声は震えていた。


恐怖ではない。


興奮でもない。


商人として、目の前の可能性を理解してしまった者の声だった。

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