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最強の創造スキルを手に入れた俺、異世界で大儲けできると思ったら現代科学より上でした  作者: おりこー3


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第73話:届かぬ刃

パチパチと-

火祭りの炎が、空を赤く染めていた。


「返せって言ってんだろ!!」


ユウトが叫ぶ。


怒りが、恐怖を押し潰す。

足が動く。


手を前に出す。

空間が、歪む。


次の瞬間――

ドラゴンの頭上に、巨大な岩が現れる。


ありえない位置。

ありえない質量。


「なっ……!?」


「上だ!!」


観衆がざわめく。


「落ちるぞ……!」

「離れろ!!」


悲鳴が上がる。


ユウトが、手を振り下ろす。


「落ちろ!!」


大岩が、空気を裂きながら落下する。


轟音。

衝撃。


地面が揺れる。


土煙が、一気に巻き上がる。


「や、やったのか……!?」


震えた声。

誰もが息を呑む。



煙の奥。

うっすらと、影が見える。


動いている。


「……嘘だろ」

「まだ……立ってる……?」


ざわめきが、静まり返る。


煙が晴れる。


そこにいたのは――

何一つ変わらない姿。


傷一つない。

ただ静かに、そこに在る。


「……っ」


ユウトの呼吸が乱れる。


ドラゴンが、わずかに目を細めた。


「なるほど……」


低い声。


「お前も、僅かに成長しているな」


その一言で、空気が沈む。


「まだだ!」


ユウトが叫ぶ。


手を前に出す。


空間が、軋む。


次の瞬間。


ドラゴンの周囲に、無数の剣が現れた。


光の刃。

宙に浮かび、震えている。


「もっとだ……」

「もっと鋭く……」


剣の形状が変化していく。


細く。


長く。


研ぎ澄まされた槍のように細く長く


空気が張り詰める。


「行けえ!!」


手を握る。


その瞬間。


槍が、一斉に収束する。


前から。

後ろから。

左右から。


逃げ場を塞ぐように――


一直線に、ドラゴンへ突き刺さる。


轟音。

衝撃。


光が弾ける。


「うおおおおおっ!!」


全てを叩き込む。


だが――

ドラゴンは、動かない。


槍は、深くは入らない。


途中で止まる。


見えない層に阻まれているかのように。


それでも。


いくつかは、僅かに通る。


鱗の隙間に。


ほんのわずかに。


血が滲む。


「……っ!!」


ユウトの目が見開かれる。


確かな手応え。


しかし…

致命傷には程遠い。


ドラゴンは、平然としていた。


ユウトの動きが、止まる。


次の瞬間。


全ての槍が弾け飛んだ。


「――っ!!」


衝撃。


ユウトの身体が吹き飛ぶ。


地面を転がる。


息が詰まる。


「……まだだ」


それでも、立ち上がろうとする。


膝が、言うことをきかない。


「うそ……だろ」


そのまま、倒れ込む。


視界が、揺れる。


音が遠ざかる。


(なんでだよ……)

(なんで、届かねぇんだよ……)


意識が沈む。


その時。


「そう落ち込むな」


低い声。

逃げ場のない響き。


「我と戦うには、まだ早いというだけだ」


ただ事実を告げるだけの声。


それ以上は、何も言わない。


沈黙が落ちる。


やがて――

ドラゴンが、わずかに視線を外した。


「……」


ゆっくりと、翼が広がる。


空気が震える。


誰も動けない。


止めることも、声をかけることもできない。


ただ見ていることしかできなかった。


次の瞬間。


ドラゴンの姿が、ふっと歪む。


現れた時と同じように――

空間に溶けるようにして、


その巨体は消えていった。


静寂。


重く、冷たい空気だけが残る。


誰も、すぐには動けなかった。


ただ――


その場に取り残された現実だけが、

はっきりと残っていた。

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