表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強の創造スキルを手に入れた俺、異世界で大儲けできると思ったら現代科学より上でした  作者: おりこー3


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

70/75

第70話:始まりの炎

「ほら、行くよー」


シオリがユウトの手を引く。


二人は再び、祭りの灯りへと戻る。


人の声。 音楽。 笑い声。


さっきまでの出来事が、夢のようだった。


「ねぇ、優斗――」

「見てて」

「あの串焼き屋のおじさん転ぶよ」


「え?」


ユウトが眉をひそめた、その直後だった。


「うわっ!?」


声が上がる。


串焼き屋の男が足を滑らせ、 手にしていた串を派手に落とした。


「あー……!」


周囲がざわつく。


焦る男。 笑う客。


何気ない光景。


だが――


ユウトは固まっていた。


ゆっくりと、シオリの方を見る。


「……今の」


「ねっ!」


シオリが無邪気に笑う。


まるで、ちょっとした手品を見せた子供みたいに。


「そんな顔しないでよ」


「……」


ユウトは何も言えない。


言葉が出てこない。


ただ―― 胸の奥が、ざわついていた。


シオリは気にした様子もなく、また歩き出す。


「ほら、次行こ!」


――――――


しばらく歩く二人。


人混みを抜けた先で、声がかかった。


「これはこれは……」

「お二人とも楽しんでおられますかな?」


振り向くと、そこにはウラジオとレグナスが立っていた。


「えぇ、まぁ……」


ユウトが少しぎこちなく答える。


「それは良かった」


ウラジオが満足そうに頷く。


「この後が、この祭りの本番ですぞ」


「本番?」


「ええ」


レグナスが静かに視線を向ける。


その先――


広場の中央。


人々が自然と距離を取り、 ひとつの場所を囲むように集まっていた。


そこには――


大人一人分ほどの高さの木が、 丁寧に組み上げられていた。


枝が重なり、 まるで塔のような形をしている。


「火祭りです」


レグナスが静かに言う。


「この村では、聖霊へ祈りを捧げる儀式として行われております」


「へぇ……」


ユウトは、その木を見つめる。


どこか、不思議な感覚があった。


ただの祭りのはずなのに―― 妙に、胸がざわつく。


その隣で。


シオリは――


じっと、その火の台を見つめていた。


笑顔は、消えている。


まるで何かを“知っている”ような目。


「詩織?」


ユウトが声をかける。


「……うん」


一瞬遅れて、シオリが返事をする。


そしてすぐに、いつもの顔に戻った。


「楽しみだね」


そう言って笑う。


だがその笑顔は――


ほんのわずかに、 無理をしているようにも見えた。


――――――


しばらくして。


村長が前へと進み出る。


静まり返る広場。


全員の視線が、中央へと集まる。


松明が掲げられる。


「――祈りを」


低く、重い声。


次の瞬間。


火が、灯された。


乾いた木が、ぱちりと音を立てる。


やがて炎は一気に燃え上がり、 夜空を赤く染めた。


「おおおおおっ!!」


観衆から歓声が湧き上がる。


炎は揺れる。


高く、高く。


まるで何かを呼び覚ますかのように――


その光を。


シオリは、ただ静かに見つめていた。


炎が揺れた、その瞬間――


遠くの湖の光が、わずかに強まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ