第65話:三大商人の食卓
教会の食堂
長テーブル
そこには
子供たち
レグナス
ウラジオ
シシリー
シスター
目の前には
湯気の立つ美味しそうな料理が並んでいる。
焼きたてのパン。
香ばしい肉料理。
彩り豊かな野菜の煮込み。
食欲をそそる香りだった。
その席に
ユウトとシオリも座っていた。
「あの……」
シオリが遠慮がちに口を開く。
「本当によろしいのですか?」
「私たちまでお邪魔してしまって」
「良いんですよ」
笑顔で答えたのはウラジオだった。
「ユウト殿には日頃お世話になっておりますし」
「それに――」
少し照れくさそうに頬をかく。
「あのシオリサトウ様にお会いできるとは」
「光栄ですな」
その瞬間。
コホン、と咳払い。
「あぁ、紹介が遅れました」
ウラジオが背筋を伸ばす。
「妻のシシリーです」
隣に座る美しい女性が、
上品に微笑んだ。
「初めまして、ユウト様」
「主人が大変お世話になっております」
「シオリサトウ様も、どうぞよろしくお願いいたします」
丁寧に頭を下げる。
「こちらこそ……」
ユウトも慌てて会釈した。
するとウラジオが
ふと思い出したように尋ねる。
「ところで……」
「どうしてお二人がこちらへ?」
その質問に
シオリがにっこり笑った。
「昼間にレグナス商会へ伺ったのですが」
「レグナスさんとは入れ違いだったようで」
「こちらまでご挨拶に参りました」
悪魔のような笑顔だった。
「レグナス商会にぃい……」
ウラジオが悔しそうにレグナスを見る。
「ま、まぁ……」
慌てて割って入ったのはシスターだった。
「それより、冷めないうちに頂きましょう」
「ねえー、お腹すいたー!」
「まだー?」
子供たちの元気な声が飛ぶ。
「そ、そうですね!」
子供たちの視線にウラジオも我に返った。
「では……」
シスターを中心に祈りが始まる。
シスター。
ウラジオ。
シシリー。
レグナス。
子供たち。
「…………」
ユウトとシオリも
とりあえず真似をした。
「…………」
やがてシスターが微笑む。
「では、いただきます」
「いただきます!」
子供たちの元気な声が響いた。
それを見つめる大人たちの目は
どこまでも優しかった。




