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最強の創造スキルを手に入れた俺、異世界で大儲けできると思ったら現代科学より上でした  作者: おりこー3


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第58話:泣く男

うら飯屋の店内


いつも通り落ち着いた空気に包まれていた。


木のカウンター。


湯気の立つ料理。


静かに流れる時間。


その一角で――


ユウトとシオリは、

並んで食事をしていた。


ユウトの前には定食。


シオリの前には、

見た目だけやたら洒落た一皿。


「……で?」


フォークを回しながら、

シオリが口を開く。


「街の様子、見てきたんでしょ?」


「あぁ」


ユウトは頷く。


「バルド商会のカップ麺市場は大盛況」


「深夜販売も列ができてた」


「焼きそばと油そばは、

取り合いになってたぞ」


「そう」


シオリは平然としている。


「レグナス商会も負けてなかった」


「カレーを筆頭に、

他のレトルト商品も飛ぶように売れてた」


「ふーん」


一口食べる。


まるで他人事だった。


「まぁ今回は――」


水を一口飲み、

シオリは静かに言った。


「引き分けってところね」


「……」


ユウトは思わず、

箸を止めた。


「お前、すげぇな……」


「全部、言った通りになった」


競合回避。

他のレトルト商品販売。


綺麗に当たっていた。


「ふふん」


シオリが胸を張る。


「私って、可愛いだけじゃなくて天才だし」

「考えたことがその通りになるのよ!」

「たまにだけどね!」


ビシッと決める。



「へいへい、

そうでございますね」


呆れながらも、

素直に認める。


シオリは満足そうに笑った。



――その頃。

ウラジオ商会、社長室。


高級酒の瓶が並ぶ卓上。

空になったグラス。


そして――

やけ酒中のウラジオがいた。



「うらやましい!!」


顔を赤くしながら、 大声で叫ぶ。


「バルドカップ麺!?」

「レグナスカレー!?」


「どちらも大ヒット商品だと!!」


拳を振り上げる。



「まったく……」

「ユウト殿も人が悪い」


ぐいっと酒をあおる。



「私の商会で 出してくれれば良かったものを……」


本音だった。


その隣で、 レイヴンが静かにため息をつく。



「まだ、 ユウト様が加担していると 決まったわけではありません」


冷静なフォロー。



だが――



「いいや!」


ウラジオが即座に否定した。



「こんな事ができるのは、 ユウト殿しかいない!」


指を突きつける。



「バルドにカップ麺」

「レグナスにはレトルト」


「 互いに張り合って 何としてでも売上を伸ばす」


「そして最後に――」

「儲けるのは、 ユウト殿だ!!」


ウラジオが悔しそうに唇を噛む。


「……」


レイヴンは黙った。



「……確かに」

「彼なら、 やりかねませんが」


フォローしきれなかった。



「おそらくユウト殿は…」

「私にラムネ1本に絞らせて売上を伸ばさせる魂胆だ!」



その時――


コンコン。

扉がノックされる。



「旦那、 お迎えに来やした」


現れたのは、 運転手のロイドだった。



「今それどころではない!」

「私にはまだ、やることがある!」


ウラジオが椅子にしがみつく。



「はぁ…」

「奥様がカンカンですぜ」

「何時だと思ってるんだと…」


「ロビーでお待ちいただいてます。」


ロイドが淡々と言う。



「ひぃぃ……」


顔色が変わった。



「それを先に言わないか!」

「行きますよ!」


即座に立ち上がる。

先ほどまでの威勢は消え失せていた。


そのまま小走りで去っていく。


残されたレイヴンは、 空のグラスを見つめて小さく呟いた。



「……平和ですね」

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