第54話:新発売
翌朝――
静かな部屋に、
端末の通知音が鳴り響く。
「……ん……」
黒いベッドの上で、
ユウトは片目だけ開けた。
寝ぼけたまま端末を手に取る。
案の定、
送り主はアメリだった。
『ユウトん、おはよう(^o^)
カップ麺販売開始したよ〜‼️』
「……」
(さすがに、慣れたな)
寝起きの頭でそう思いながらも、
内容には一気に目が覚める。
(いよいよか……)
(俺の今後は、こいつに掛かってる)
(頼んだぞ……)
のそりと体を起こし、
軽く伸びをする。
「さて――」
「カップ麺で賑わう街の様子でも見に行くか」
普段なら、
面倒くさいの一言で終わる外出。
だが今日は違った。
自分の作った商品が、
この街でどう受け入れられるのか。
(ラムネ以上に期待できるからな)
それだけは、
どうしても気になった。
―――
外へ出る。
朝の街はすでに活気づいていた。
行き交う人々。
開き始める店。
空を走る車両。
そして――
建物の壁面ディスプレイには、
大きく映し出されていた。
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バルド商会より新発売!
革命的保存食
バルドカップ麺
熱湯3分で究極の味
本日発売!
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「すげぇな……」
思わず見上げる。
少しだけ、
胸が熱くなった。
――だが。
「……え?」
ディスプレイが切り替わり
別の広告が映っていた。
その瞬間――
ブブブブブッ!!
端末が激しく震える。
通知ではない。
着信。
しかも、
緊急性の高い通話回線
「……」
見当はついている。
いや――
たった今、確信した。
「ユウトです」
通話に出る。
『アメリです。』
『至急、お耳に入れたいことがあります。』
「分かってます」
低く返す。
「レグナス商会の件ですね」
ユウトは、
ゆっくりと壁面を見上げた。
そこに映っていたのは――
(なんで、これが存在するんだ……)
(誰が、これを……)
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レグナス商会より
新発売
レグナスカレー
お湯で温めて至高の1品
本日発売開始
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「すぐ向かいます」
『お待ちしております』
--バルド商会へ




