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最強の創造スキルを手に入れた俺、異世界で大儲けできると思ったら現代科学より上でした  作者: おりこー3


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第4話:サイレント就職

人通りから逃げるように裏路地に入るユウト。


「さてと…」


(この街でも売れそうなものがわかった)


便利な道具は既に存在している


なら…


「これだ!」


手のひらを前に出しイメージする。


(たしか…)


「あれ?なに色だっけ?」


(まぁ、いいや)


(6色あれば何色でもいいよな)


そして


現れたのは"ルービックキューブ"


「懐かしい」


「子供の頃なぜか家にあって遊んだな」


でも…


「商売ができなければ意味がないよな…」



ルービックキューブを見つめながら、ため息をつく。


「やっぱりギルドに入るしかないか…」


転生前はニートだった俺も――


ついに“就職”するというわけだ。


「あいつら(両親)が聞いたら、泣いて喜ぶだろうな」


毎日のように嫌味を言われていた。


それが唯一の“人との繋がり”だった。


――なのに。


今はもう、会うこともできない。


胸の奥が熱くなる。


気づけば、視界が滲んでいた。


「……っ」


涙を拭い、顔を上げる。


「……行くか」


路地から出て近くにいた人に商業ギルドまでの道を聞く。


(覚えられない…)


とりあえず方角はわかった。


しばらく進み、すれ違う人に道を尋ねる。


たまに無視され人間不信になりかける。


それでも諦めずに道を聞く。


そして…


大きな建物が見えてきた。


看板には商業ギルドと書いてある。


入口の前に立ち、息を整えるユウト。


「ふぅ…」


「ん?」


中から声が近づいてくる。


アニメかマンガ、どっちか忘れたが

それらで出てきそうな商人が2人

話しながらギルドから出てきた。


咄嗟に隠れるユウト


(なんで俺、隠れたんだ…)


勇気をだして中に入るユウト


中は想像していたよりもシンプルな作り。


ギルドというより市役所のような所だった。


5~6人ほどの商人らしき人たち。


それぞれ職員と話していた。


受付には、同年代くらいの綺麗な女性。


「商業ギルドへようこそ!」


「商標登録ですか?」


「加入の申し込みですか?」


「あ、はい…ギルド加入希望でしゅ」


「(でしゅ?)……」


「では、こちらの書類に記入してください」


転生前も含めて同年代の女性と話すのは久しぶりだ。


綺麗な若いお姉さんに萎縮してしまった。


(目の前にいるのはカボチャだ)


若干失礼ではあるが、必死に自分に言い聞かせながら書類を書く。


名前:ユウト

年齢:21歳

住所:無し

職歴:無し

犯罪歴:無し

特技:物作り

志望動機:お金を稼ぐため


(現世なら即お祈りメールだな…)


「……お願いします」


書類を差し出す。


目を見て話せないので下を向く。


「21歳!?私と同じじゃん!」


「物作り得意なんだ!」


「志望動機、お金!正直でいいね!」


同い年と知った途端、急にタメ口になる女性。


不都合なところはスルーしてくれた。


「今までどんなものを作ったの?」


「これ…です…」


ルービックキューブを差し出すユウト。


「…?」


「どうやって使うの?」


説明するより実演する方が早いと思い


綺麗に揃ったルービックキューブをクルクルと回してバラバラにした。


「これを回して、また色を揃えて遊びます」


「こうやって、、、あれ?、、、え?」


見られている緊張のあまり、揃えられない。


(くそー!練習してから来るべきだった!)


(お姉さんも反応に困ってるよ)


(黙っちゃったよ…)


地獄のような沈黙


ひたすらルービックキューブを回す。


「あれ?おかしいな。あれ??」


永遠にも感じた沈黙も2分ほど経っただろうか。


お姉さんが口を開いた。


「これ面白い!!」


「ユウトくん、これ売れるよ!」


「え?」


「ちょっと貸してみて!」


「あっ」


ルービックキューブを取り上げ


今度はお姉さんが回し始めた。


また沈黙が続いたが、俺の頭の中は別のことでいっぱいだった。


(今お姉さんの手、少し触れた…)


5分ほど経ち、1面が揃った。


「ほら!!揃えたよ!凄いでしょ!」


なんなんだ。この可愛い生き物は?


1面揃えただけで子供のようにはしゃいでるぞ。


「あの、これ6面全部揃える遊びです」


「えー、無理だよ!」


「でも面白い!つい夢中になっちゃった。」


その時


「次、俺にもやらせてくれ」


「いや、俺がやる!」


「私もやりたい」


後ろから声が聞こえてきた。


先程まで職員と話していた人達が集まっていた。


「待ちなさい。」


コツコツとゆっくり歩きながら


いかにも商人といった出で立ちの紳士が声を上げた。


その男性が言葉を発すると、周りの人達が道を開ける。


場の注目が一斉に集まる。


男性はユウトの横に立ち、自己紹介を始めた。


「初めまして。」


「私はこの街で商会を営んでおります。」


「ウラジオと申します。」


ニコっと笑うウラジオ。


「はぁ、ユウトです。」


「よろしくお願いします。」



これが俺とウラジオの出会いだった。


そして、俺の人生を決める運命の出会い。


「そちらの商品を拝借しても宜しいですかな?」


「どうぞ」


受付のお姉さんからルービックキューブを受け取るウラジオ。


クルクルと回し始めた。


「ほうほう!回した感じが気持ちの良い」


「手が喜んでいますね」


「…」


しばらく回し続けるウラジオ


「なっ!むむ!なんと!!うー、こうか?」


次第にムキになり始めた。


気がつくと、ギルド内の注目はただ一点。


ルービックキューブに集まっていた。


───


どのくらいの時間が経っただろうか。


「できた!!できたぞ!!!!!」


なんと、ウラジオが6面すべてを揃えてしまったのだ。


さっきまでの紳士な姿はどこへやら、無邪気に喜んでいる。


「これは面白い!」


「この商品は絶対に儲かる!!」


「ユウト殿、お話があります」


「この商品の商標登録がまだでしたら、私に譲って頂きたい。」


「もちろん、それなりのお礼は致します!」


「いや、でも…」


商業ギルドに加入するために来ただけなのに…


いつの間にか商談になってしまった。


「5000万!5000万円でいかがでしょう!」


「5000万!?!?売ります!!」


即決してしまった。


「ユウトくん、本当にいいの?」


受付のお姉さんが心配してくれている。


目先の金に目が眩むのは仕方がない。


今の俺の財産は800円なのだから。


「はい!それでお願いします!」


大金が手に入る事になり


お姉さんへの萎縮もどこかへ消えてしまった。


「商談成立ですね!」


「今夜お時間はありますかな?」


「代金のお支払いと、今後の話もしたい」


「宜しければディナーでもご一緒に――」


「ぜひ、お願いします。」


「では、今夜6時に迎えの車を用意します」


そう言うと、ウラジオはニコニコしながら去っていった。


--


得体の知れない玩具に5000万もの高額取引。


周囲の人たちもざわつき始めた。


「いったい何の騒ぎだ?これは」


奥の扉から、大柄な男性が面倒くさそうに出てきた。


「マスター、お疲れ様です。」


「ケイト、何かあったのか?」


(この人がギルマスか…)


(ケイトさんって言うのか…)


2つの情報を得たユウト


「それが…」


「本日うちのギルドに加入した、こちらのユウト様の商品がとても良い品物だったのですが」


「ウラジオさんが居合わせて……ゴニョニョ、ゴニョニョ」


「――ウラジオか。あいつは相変わらず手が早いな」


(ん?今『加入した』って言った?)


「おう、俺はこの商業ギルドのギルマス…」


「ワイトだ!よろしくな」


「申し遅れました。」


「私は副マスターのケイトです。」


「ユウトくん、よろしくね!」


「え?副マスター?」


「お姉さんが?」


「受付じゃなくて??」


「人件費削減のために、私が受付をすることもあるの」


転生前にも聞いたことのある“人件費削減”。


まさか異世界でも聞くとは思わなかった。


「そ、そうなんですね。」


「えっと、それで、ギルド加入の件はどうなりますか?」


「ギルド加入は書類に名前を書くだけだよ!」


「あとは月末締めで売上の10%を、毎月1日にギルドに納めてね!」


「さっきの契約も加入後だから、その……ねっ!」


(やられた!)


(加入前なら10%取られなかったのか…)


「はぁ……」


溜息をつきながら、渋々了承するユウトであった。

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