第3話:都市で商売開始!
村での小さな成功を胸に、ユウトは都市へ向かっていた。
手にはライターと石鹸。
「さて……ここではどれくらい通用するか」
都市の門をくぐると、目の前には高層ビルと近未来的な街並みが広がっていた。
空中には光る広告パネルが浮かび、道路を走る乗り物は空中を漂う。
「……現代科学より凄くないか?」
広場に到着したユウトは、商品を広げて実演販売を始めた。
まずはライター。
タバコのような棒を口にくわえた紳士の前でライターに火をつけてみたが、紳士がその棒越しに息を吸い込むと先端が赤く燃え上がり火がついた。
「……え、ライター、必要なくね?」
次に石鹸を手に取り、色や香りを工夫して見せる。
通行人は「ふーん」と軽く見て通り過ぎる。
「……まさか、石鹸まで無反応かよ」
頭を抱えるユウト。
そんな時、子供たちが興味津々で集まってきた。
「わあ、虹みたいな泡!」
「火花が出てる!」
「お兄ちゃん、もっとやって!」
ユウトは苦笑しつつも手を動かす。
ライターを振って火花を散らし、石鹸の泡をカラフルにして見せる。
「ちょ、ちょっと待って、手が追いつかない!」
「火花も多すぎると危ないし……でも、楽しんでくれるなら、ま、いいか」
子供たちは歓声をあげながら泡で遊び始め、通行人も足を止めて覗き込む。
「なるほど……科学で勝つんじゃなくて、楽しさで勝負か」
ユウトは小さくニヤけた。
その時、衛兵が笛を吹きながら駆け寄ってきた。
「おい、君!ここで勝手に商売はできない。商業ギルドに登録していない者は販売禁止だ!」
ユウトは目が虚ろになる。
「え、ええ……!?商業ギルド??
商売できないの?
せっかく子供たちが喜んでるのに……やる気、全部持ってかれた……」
子供たちは石鹸の泡を握りしめながら、無邪気に笑っている。
「お兄ちゃん、怒られちゃったね」
「でも楽しいからいいじゃん!」
ユウトは肩を落とし、ため息をつく。
「……俺って大人に怒られると、すぐやる気ゼロになるんだよな」
通行人のおばさんも困った顔で言った。
「まあ……子供たちを喜ばせてるのはいいけど、ルールは守らないとね」
ユウトはしばらくボーッと立ち尽くす。
「……今日の商売はここまでか……全部無駄になった気分だ」
しかし、子供たちの笑顔が少しだけユウトの心を刺激する。
「……まあ、ちょっとは楽しんでもらえたか」
都市での挑戦は始まったばかり。
科学や街のルールに圧倒されつつも、人々の楽しむ姿に手応えを感じた。




