第2話:ライターと石鹸、思ったより無双できない!?
森を抜け、ユウトは小さな村に到着した。
手の中には、自作のライター。
気楽な笑みを浮かべながら、胸の中でつぶやく。
「これさえあれば、村人を驚かせて簡単に金を稼げる……はず」
ユウトは広場に村人を集めた。
何故か言葉が通じたが異世界モノのお約束ということで特に気にしなかった。
ポケットからライターを取り出し注目を集める。
火がポッと灯ると、村人たちは一瞬驚いた顔をした――と思ったら、すぐに冷めた視線を向けてきた。
「……おや、それは火がつく道具か?」
鍛冶屋の老人が首をかしげながら話しかけてきた。
その手には、拳程のサイズの金属製の箱――ポータブルマジックフレーム――が握られていた。
スイッチを押すと安定した火が出る。
燃料も長持ちするらしい。
ライターより頑丈で安全な代物だ。
「……えっ? これ、俺のライターよりすごいくない?」
異世界なら楽勝で無双できると思っていた俺は頭が真っ白になる。
現実は違った。
ライターなんて、既に当たり前に存在しているのだ。
次に、石鹸を作ろうと考えた。
創造スキルで現代式の石鹸を作り、村人に見せる。
しかし、村の人々は既に洗浄・抗菌・保湿機能付きの石鹸を日常的に使っていた。
ユウトの現代知識では、もはや「普通の石鹸」でしかない。
「……うわぁ、俺のスキル、全然チートじゃない……」
焦るユウトだったが、頭の中でひらめきが生まれる。
「……でも、改良すればまだ勝てるかも」
考えたのは、ただ作るだけでなく**“現代知識+少しの工夫”で価値を生み出す方法**だった。
ライターは火力を微調整でき、安全装置を追加して多用途化、さらに見た目を
石鹸は香り・色・形を変え、高級感を出して富裕層向けに販売
早速ライターと石鹸の試作品を作った。
手元でライターを指で弾くと、微妙に火力を調整でき、火の出方も安定している。
石鹸は鮮やかな色で香りもつけ、見た目だけで既存商品との差別化ができた。
「これなら……ちょっとは戦えるかもしれない」
村人たちは初めこそ半信半疑だったが、試しに使ってみると、すぐに驚きの声が上がった。
「おおっ、このライター?とか言うもの火力調整ができるのか!
小さいし持ち運びに便利だ。」
「この石鹸、香りもいいし洗い心地も全然違う!」
ユウトは小さくガッツポーズを取る。
その様子を遠くの木陰から冷たい視線が見つめていた。
「……ふむ、この少年、ただ者ではなさそうだな」
ユウトの異世界での商売生活は、ここから始まった。
楽して稼ぐはずが、思ったより科学が進んだ世界では、“少しの工夫”が勝負の鍵となるのだ。




