第2話:ライターと石鹸、思ったより無双できない!?
しばらく森の中を歩き続けるユウト
「おーい、にんげーん」
「どこだー?」
「ヴォオオオオオ……グルァァァッ!!」
獣が呼応するように鳴き始める。
「…」
口を閉じ静かにその場を離れる。
すると…
明らかに人が踏み固めたような通り道
細くもない、馬車1台通れる広さだ
(ここを辿れば…)
だが…
(右か左、どっちが人里に近いか…だな)
「右にするか」
理由はない
なんとなく右にしただけだ。
⎯⎯⎯
それから10分ほど歩いただろうか
遠くの方に木でできた囲いが見えてきた。
明らかな人工物。
「村だ!!」
(ここから俺の勝ち組人生がスタートだ!)
ポケットの中でライターを握りしめ、決意するユウト。
囲いを辿ると、門が見えてきた。
開いてる。
村の中に入ると…
「にんげん」
目を輝かせながら、第1村人発見
「ん?」
そこに居たのは、日本人のような顔立ち。
40代ぐらいの女性
服装は、現代よりは少し昔の印象だがファッションを楽しんでる感じがする。
「こ、こんにちは」
すると
「はい、こんにちは」
と笑顔で返してくれた
言葉は通じたので安心したユウト
そのまま村の中を歩き始めるユウト。
すれ違う人々はみんな日本人寄りの顔立ち。
やがて広場のようなところに行き着いた。
「やるか!」
(人に見せない方がいいよな…)
手を前に出し木製の台をイメージする
すると大きさ、形、色、全てイメージ通りの台が現れる。
もう1つ
手を前に出し石鹸をイメージする
色、形、大きさ
在り来りな石鹸が出現した。
ライターと石鹸を台に置き…
「よし!」
と気合を入れ…
「い、いらっしゃいませ〜」
声が出ない。
誰も見てくれない。
勇気を出す。
「いらっしゃいませー!」
広場にいた人々の注目が集まる
「なんだ?」
「なにかの販売?」
ユウトの勇気ある"いらっしゃいませ"により
数人の大人たちが近寄ってきた
(こ、この後どうすれば…)
「なんだい、これは?」
と男性が声をかけてくれた。
「これはですね」
「ライターと言いまして」
「ここを、こうすると…」
火がポッと灯る
村人たちは一瞬驚いた顔をした――
と思ったら、すぐに冷めた視線を向けてきた。
「……おや、それは火がつく道具か?」
いかにも鍛冶屋といった面持ちの老人。
首をかしげながら話しかけてきた。
「ほう、こいつぁ小さいな」
「持ち運ぶには良いかもしれんが…」
「それだけだな」
「火をつけるならコイツで事足りるな」
老人は近くの工房から何やら持ってきた。
「え??」
サイズで言うとマシンガンのようなサイズ
持ち手がある
引き金のようなところを引くと…
火がついた
「あの…これは?」
「すげーだろ」
「近くの街で買ったんだ」
「このツマミを捻ると火力の調整も出来る」
「……えっ? これ、俺のライターよりすごいくない?」
「じゃ、じゃあ 、これは」
「これは石鹸と言いまして」
「あぁ、石鹸ね」
「うちにもあるわよ」
「え…」
頭が真っ白になる。
「出直します…」
商品ごと台を持ち上げ、足早に退散するユウト
(俺のスキル、全然チートじゃねえ!!)
(どうする…)
予想外の展開
焦るユウト
そして…
頭の中でひらめきが生まれる。
「改良すればまだ勝てるかも」
(ライターは小さいのが唯一の強みだ)
頭の中のイメージを膨らませる。
ここにこれを付ければ…
火力の調整ができるはず。
見た目も少し高級感が欲しいな。
手を前に出して創造する。
「できた!」
念の為火をつけて確認するユウト
「ここを回せば…」
火の勢いが強くなる
「よし!」
石鹸は香り・色・形を変え動物の形にしてみた。
「これなら……戦えるかもしれない」
広場に戻り、商品を並べるユウト
「いらっしゃいませー!」
「おっ、またか」
「次は何を売るんだい?」
「さっきのライターと石鹸の改良版です」
「えー、また?」
村人たちは初めこそ半信半疑だったが
並べられた商品を見ると目を輝かせた。
「このライター?かっこいいな!」
「火力も調節できます」
「この石鹸可愛いー!」
「香り付きです」
「おい、小僧!」
「そのライター、ワシに売ってくれ」
さっきの鍛冶屋の老人だ
「私には石鹸ちょうだい」
異世界での商売生活は、ここから始まった。




