第37話:誰か止めろ!
石畳の通り。
人の流れ。
露店の呼び声。
ユウトはゆっくりと歩いていた。
焼けるような匂い。
見たことのない串料理。
(……)
ユウトは、ただ観察する。
(この世界……)
(現代科学を、もう追い抜いてる)
(だからこそ)
「何が足りてないか」
小さく呟く。
カップ麺も、ラムネも。
作れなかったわけじゃない。
“作らなかっただけ”だ。
(なら――)
(まだ、必ず穴はある)
だが-
簡単には見つからない。
「まあ、そんなもんか」
小さく息を吐く。
ふと、足が止まる。
「……ここ」
古びた外装。
歪んだ扉。
「うら飯屋……」
(相変わらず……ボロいな)
しばらく見つめる。
(これ、一人で入るのは……)
沈黙。
「……よし」
「今回はやめとこう」
即、撤退。
(そんなに腹が減ってるわけじゃいしな)
合理的判断である。
そのままホテルへ戻る。
部屋。
静寂。
「……」
ベッドに倒れ込む。
「はぁ……」
ゴロゴロと転がる。
「何も思いつかなかったな」
ヒントはある。
だが、答えはまだない。
その時。
ふと、端末の存在を思い出す。
「……一応」
「電源だけでも入れとくか」
ピッ
画面が点灯する。
「緊急の連絡が入るかもしれない」
次の瞬間。
通知 11件
「……は?」
固まる。
『暇だよー( •́ɞ•̀)
何してるー?』
「……」
『ユウトん端末の使い方わかる?』
『お姉さんが教えてあげよっかo(>∀<*)o』
「……イラッ」
『お疲れ様で御座います。
バルド商会のカザフです。
副社長のメッセージに驚愕している頃だと思われます。
何卒、ご容赦を。』
「……」
『カップ麺の生産ラインできたょ⸜(˙꒳˙)⸝
ユウトんも見においでよщ(゜д゜щ)カモーン』
『( *´・ω・`)σ) з・`) ツンツン』
『おーーーいヾ(。・д・。)』
「……」
『ガルドです。
先程はありがとうございました。
カップ麺の生産ラインが整いましたのでご報告いたします。』
「ついさっきの事なのに仕事が早いな」
さらに。
『ユウトん、いまヒマしてる❓(´ω`)
迎えに行くねー(ΦωΦ)フフフ・・』
『ブーーーン(((((((((((っ・ω・)っ』
「え???」
最後。
『ガルドです。
副社長がユウト様を迎えに行くと言って出ていきました。
ご注意ください。』
「注意?」
数秒。
「はあああああ!???」
理解が追いつかない。
その時。
コンコン。
扉がノックされる。
「……」
ゆっくりと、視線を向ける。
(まさかな……)
ユウトの顔が青ざめる。




