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最強の創造スキルを手に入れた俺、異世界で大儲けできると思ったら現代科学より上でした  作者: おりこー3


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第34話:カップ麺

会議室。


テーブルの上に置かれた見慣れない容器。


その容器に全員の視線が集まっていた。



「……昼時、ですね」


ユウトが静かに言う。



「よろしければ、試食を」


カザフとアメリが一瞬だけ視線を交わす。



「……いただきましょう」


「ええ」


ガルドも頷いた。



「では準備をいたします」


すぐに動こうとする。



「お湯だけで大丈夫です」


「……お湯、だけですか?」


ガルドの動きが止まる。



「はい」


「他に調理器具は?」


「不要です」


「……」


一瞬の沈黙。


誰も理解できていない。


やがて、お湯が運ばれてくる。


湯気が立ち上る。


ユウトは淡々と蓋を少し開け――

人数分のカップ麺に、順番にお湯を注いでいく。


じわり、と音がする。


その様子を――全員が、ただ見ていた。



「……それで、完成ですか?」


カザフが思わず聞く。



「いえ」


ユウトは首を振る。



「あと3分です」


「3分……?」


ガルドが繰り返す。



「はい。待つだけです」


「……」


さらに沈黙が深くなる。



(……朝もこれだったんだけどな)


ユウトは内心で呟く。


3分。

何も起こらない時間。



だが――



「……」


全員の視線は、カップ麺に釘付けだった。


わずかに立ち上る香り。


それだけで違和感がある。



(……香りが強い)


ガルドが気づく。



「……時間です」


ユウトが言う。


静かに蓋を開ける。


その瞬間――

湯気と共に、濃厚な香りが一気に広がった。



「……っ」


誰かが息を呑む。


見た目。

麺。

具材。

そして香り。


“ただお湯を入れただけ”とは思えない完成度。



「どうぞ」


ユウトが促す。


最初に動いたのは、ガルドだった。


箸を取り、慎重に麺を持ち上げる。


そして、一口。



「……」


止まる。

完全に止まった。

いや!膝が震えている。



カザフも続く。

一口。


「……ア……」


もう一口。


「……ウ……」


さらに一口。


「……ええ……」


言葉にならない。



アメリ。

静かに口へ運ぶ。



「……」


そして――

ぽたり。

涙が落ちた。


「……っ」


もう一口。

涙が止まらない。


「……こんな……」

「……こんなもの……」



ガルド。

箸を持ったまま、止まっていた。


「……」


咀嚼は終わっている。

だが、動かない。


やがて。

ゆっくりと息を吐く。



「……たったの……」

「3分で」

「この完成度……」


カザフが短く言う。



「……これは、売れる」


アメリは涙を流したまま。



「……売れる、なんてものじゃない……」

「これは……全てを変える」


沈黙。


そして――

ユウトが口を開く。



「では」


視線が集まる。



「バルド商会と、共同事業にしましょう」

「利益は折半で」


空気が止まる。


ガルドの目が細くなる。


カザフは静かに息を吐く。


アメリは涙を拭いながらも、表情を引き締める。



「……条件は」


カザフが問う。



「カップ麺の取引は――」

「バルド商会のみ」


完全な沈黙。


次の瞬間。



「……受けましょう」


ガルドが即答した。



「当然です」


カザフも頷く。



「断る理由がないわね」


アメリは、笑う。


その場で決まった。


カップ麺という“異物”は――

バルド商会と共に、世界へ出る。

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