第26話:ロイドの仕事
車内。
「で、どうだった?」
ロイドがハンドルを握ったまま聞いてくる。
「副社長が出てきて、その場で収めてくれた」
「……は?」
ロイドが思わず振り向きかけて、すぐ前を見る。
「副社長って……バルド商会のか?」
「そう」
「本当に副社長か?」
「嘘つく意味ないだろ」
ロイドは数秒黙る。
「……そりゃまた、ずいぶん大物が出てきたな。」
「そうなのか?」
「当たり前だろ!」
「普通は担当者に伝えて後日って流れだ。」
(副社長自ら動く、か……)
(……何かあるな)
ロイドは表情を変えずに、前だけを見ていた。
ぐぅぅ……
「……」
「……」
ロイドがちらっとミラーで見る。
「腹減ってんのか?」
「……まあ」
「そういや昼飯食ってなかった」
「そうか…」
ロイドがニヤッと笑う。
「よし、飯でも行くか!」
「いいのか?仕事中だろ」
「お前を送り届けるのが今の仕事だからな」
「飯屋に送り届けるのも仕事」
「ついでに俺も食うだけだ!」
(それでいいのか、運転手)
ユウトは心の中で突っ込む。
車はそのまま進路を少し変える。
「うまいとこ知ってるぜ」
「信用していいのか?」
「まかせろ!」
ロイドが笑う。
「運転も飯も一流だ」
「運転は認めるが飯はどうかな」
「おい」
軽口を叩きながら、車は街中へと入っていく。




