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最強の創造スキルを手に入れた俺、異世界で大儲けできると思ったら現代科学より上でした  作者: おりこー3


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第25話:線引き

静寂する室内


「既に特定できております」

「転売を行っているのは、バルド商会傘下――ゼルディア商会です」


レイヴンが報告する。



「……ゼルディア?」

「聞いたことがないな。」


ウラジオが眉をひそめる。



「かなり小規模な商会と考えられます」


レイヴンが補足する。



「バルド商会が関わっている可能性はありますか?」



「現時点では低いと考えられます」

「傘下の暴走と見るのが妥当かと」


レイヴンが資料を再度確認する。



少しの沈黙。



先日会ったバルド商会のカザフの顔が頭をよぎる。



「……それなら、バルド商会に話をつけに行ってきます。」



物腰が柔らかく、話の通じる相手だった。

少なくとも、頭ごなしに揉めるような人物ではない。


「私も同行いたします」


ウラジオが即座に言う。



「いえ、それでは問題が大きくなります」

ユウトは首を横に振る。


「今回は確認と是正だけです」


「俺一人で大丈夫です」



ウラジオは一瞬考え――頷いた。


「……分かりました。」

「ユウト殿、お願いいたします」



バルド商会へはロイドに送らせましょう。


外に出ると、ロイドが車にもたれていた。

「お、来たか」


「バルド商会に行くんだってな。」

「仕事熱心なことで。」

「俺の今後が掛かってるからな。」


(転売なんてされたら今後の俺の利益にも関わるしな)


軽く笑いながら車に乗り込む。


エンジンをかけロイドが肩をすくめる。



「デカいとこだし、揉め事じゃねーといいけどな」


「どうだろう」


「まあ、無茶すんなよ」


「分かってる」



車は浮かび上がりながら走り出した。


数分で"バルド商会本社ビル"に到着した

明らかに“会社”と呼べる建物だった。


中へ入る。


受付の女性が丁寧に対応する。



「あの、ユウトと申します。不動産部門のカザフさんにお会いしたいのですが」


自分でも驚くほど、今回は女性相手でも落ち着いて言えた。



「ユウト様ですね。少々お待ちください」


確認はすぐに終わる。



「お通りください」


案内され、部屋へ。



「これはこれは、ユウト様」


カザフが立ち上がる。



「本日はお越しいただきありがとうございます」


「お忙しいところすみません」


「本日のご用件をお伺いしてもよろしいでしょうか?」


ユウトは本題に入る。



「ゼルディア商会という名前に心当たりはありますか?」


「……いえ、存じ上げません」


「バルド商会の傘下と聞いています」


カザフの表情が固まる。



「その商会が、俺の関わっているラムネという商品を転売しています」


「――それは」


息を呑み、すぐに頭を下げた。



「誠に申し訳ございません」


「私は不動産部門の者でして……該当商会との直接的な繋がりがありません」


「しかし、このままにはいたしません」


「確認を取ります。少々お時間をいただけますでしょうか」


「お願いします」



数分後。


扉が開いた。



「ユウト様ですね。今回の件は、私が対応いたします」


現れたのは、一人の女性。



「初めまして」

「バルド商会副社長、アメリと申します」


「この度は、我が商会の不手際によりご迷惑をおかけしました」


深く頭を下げる。



「私の責任において必ず対処いたします」


端末を操作する。


すぐに通信が繋がった。


『は、はい!ゼルディア商会の代表、ゼルディアと申します!』


「バルド商会のアメリです。」

「ラムネという商品を転売していますね?」


アメリの声が低くなる。



「なぜ独断で転売などという行為に及んだのですか?」


『そ、それは……』


「答えなさい」


わずかに口調が荒くなる。



『も、申し訳ありません!!』


明らかに声が弱々しい。



「あなた方の行為は、我が商会が“決して敵に回してはならない方”との亀裂を生む行為です。」


(…ウラジオのことか)



「理解していますか?」


『はい!!すぐに転売は停止いたします!!』


「“今すぐ”です」


『はい!!』


通信は切れた。



静寂の後。


アメリは向き直り、深く頭を下げた。



「改めてお詫び申し上げます」


「今回の件、完全に我々の管理不足です」



ユウトは軽く首を振る。



「いえ、迅速に対応してもらえたので問題ありません」


カザフがほっとしたように息を吐く。


「ありがとうございます」


ユウトは一礼する。



「それでは、俺はこれで失礼します」

「カザフさんも、ありがとうございました」



そのまま部屋を後にした。

扉が閉まる。



「……危ういところでしたね」

「まさか、ラムネにも関わっていたとわ」


カザフが小さく息を吐く。



「ええ」


アメリも短く頷く。


「ユウト氏との関係が壊れていた可能性もあったわ…」

「それは、避けなければなりません」


「はい」


「バルド様の意に背く訳にはいきません。」

「決して、敵に回してはいけない相手です」


その言葉には、確かな意思が込められていた。



外に出たユウトは、小さく息を吐く。


(ちゃんとした会社だったな)


少なくとも――筋は通っている。


ユウトの中で、バルド商会への評価は下がることはなかった。



そしてその裏で。

別の思惑が、静かに動き始めていることを――

この時のユウトは、まだ知らなかった。

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