第21話:バルド商会代表バルド
場面は変わる。
バルド商会、本館。
会議室。
長い机。
静まり返った空間。
その中央に座るのは――
代表、バルド。
年配の男。
その正面に立つのは、2人。
副社長、アメリ。
不動産担当、カザフ。
「始めろ」
低く、落ち着いた声。
モニターに映像が映し出される。
――ルービックキューブ。
まだ市場には出ていない。
試作段階の品。
カラフルな立方体が回転する。
整い、崩れ、また整う。
「こちらが例の商品になります」
「なお、情報は非公開のものです。」
アメリが淡々と説明する。
「ウラジオ商会にて標章取得済み」
「現在は試作段階」
「正式な量産には至っておりません」
カザフは表情を変えない。
バルドはルービックキューブを見つめ
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「……そうか」
一泊置いて短く答える
「量産が開始されれば、売れ筋になります」
アメリが続ける。
「面白い。」
バルドの反応にアメリとカザフが驚く
「そして――」
映像が切り替わる。
映し出されたのは、ユウト。
ウラジオ商会に入る姿。
「……優斗」
わずかに、間がある。
「はい。商品提供者です」
アメリが答える。
「ユウト氏とは本日接触済みでございます。」
「どうだった」
短い問い。
カザフは一瞬だけ間を置く。
「物件の提案を行い接触を図る予定でしたが」
「既に契約済みでした」
沈黙。
バルドの視線は、モニターから外れない。
「……そうか」
小さく呟く。
ほんの一瞬だけ。
視線が、わずかに柔らいだ。
だがそれもすぐに消える。
「判断が速いな」
何事もなかったように続ける。
「はい。1件目で決定したとのことです」
カザフが補足する。
「無駄がなく即決する度胸もある」
「……面白い」
バルドが呟く。
「この男は使える」
「囲えるか」
カザフが即座に応じる。
「現時点では距離はありますが」
「拒絶はされていません」
「十分だ。ただし敵対はするな。」
即答。
「時間をかけていい」
「取り込め」
静かな命令。
カザフが一歩前に出る。
「引き続き、私が対応します」
「任せる」
アメリが続ける。
「条件設計はこちらで進めます」
「任せた。」
バルドは頷く。
バルドはそれ以上何も言わない。
ただ――
モニターの中のユウトを見つめていた。
その視線だけが、わずかに深くなる。




