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最強の創造スキルを手に入れた俺、異世界で大儲けできると思ったら現代科学より上でした  作者: おりこー3


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第157話:限界の先こそ極地

ユウトの部屋。


普段なら、ユウトの定位置はベッドだった。


しかし今日は珍しく、ソファに座って考え込んでいる。


「……」


頭の中をよぎるのは、ぺちゃんこに萎んだスフレオムレツ。


(うーん……)


空気をイメージし忘れた。


ただ、それだけで大惨事に繋がる。


もし、あれが人だったら。


もし、あれがもっと大きな空間だったら。


考えるだけで、背筋が冷える。


だったら――


(指輪にするか……)


ユウトは目を閉じた。


頭の中に、指輪を思い浮かべる。


(指輪)


(空間を創造するとき)


(空気の存在をイメージし忘れていると、指輪が締め付けられる)


(あと……)


(かっこいいデザイン)


最後の一文に、少しだけ力が入った。


そして、手のひらを開く。


虹色の光が輝き――


謎の模様が刻まれた、太めの指輪が現れた。


(おっ……)


(いいな、これ!)


指輪を指にはめ、目線の高さまで手を上げ、しばらく眺めた。


シルバーの指輪。


細かく刻まれた、意味ありげな模様。


光の角度によって、わずかに鈍く輝く。


「……」


ニヤッ。


ユウトの口元が緩んだ。


そして、テーブルに手を向ける。


スフレオムレツをイメージしようとして――


「あっ……そうだ!」


そのイメージを取りやめた。


再び、目を閉じる。


(ブレスレット)


(腕に巻き付くような、かっこいいチェーン)


(創造するとき、大きさのイメージを忘れると締め付けられる)


(腕につけた状態)


(普段は付けてる感覚がない)


「よし!」


自信ありげに、手を伸ばす。


次の瞬間。


ユウトの腕が、虹色に光り輝いた。


光が消えると同時に、腕全体に黒いチェーンが巻き付いている。


「おぉおおおおお!!」


ユウトは、とろけるような視線で自分の腕を眺めた。


安全対策。


これは安全対策だ。


さらに。


(ドクロの指輪)


(創造するとき、イメージの段階で人の生死に関わる場合)


(強く締め付けられて、ドクロの目が赤く光る)


虹色の光。


指に、ドクロの指輪が増える。


「……いい」


さらに。


(十字架のネックレス)


(つけてる感覚がない)


(運が良くなる)


虹色の光。


首元に、ゴールドの十字架のネックレスが現れる。


次から次へとアクセサリーを創造し、装着していくユウト。


スフレオムレツで試そうとしていたことなど、すっかり忘れていた。


鏡を見る。


「……」


シルバーの指輪。


黒いチェーン。


ドクロ。


ゴールドの十字架。


(黒で統一させた方が良かったか?)


しばらく考えた後。


ユウトは、さらに動いた。


アメリに買ってもらった服に着替える。


黒を基調にした、少し大人びた服。


ブレスレットが見えるように、腕をまくる。


鏡の前に立つ。


「……」


「最高だ……」


思わず、声が漏れた。


「早速セレ……」


そこで、ユウトは止まる。


(いや……)


セレスに見せようとして、思いとどまった。


以前、アメリに写真を送ってダサいと言われた。


シオリにも、散々いじられた。


どうせセレスも……


分かってくれない。


きっと、あいつらには分からない。


だが。


誰かに見せたい。


誰かに認められたい。


誰かに……褒めてもらいたい。


「……」


この良さを分かってくれる人物。


(あいつしかいない!)


ユウトは、キリッと顔を上げた。


何かを決心したように、勢いよく部屋を出る。


そこまで長くない廊下。


二階から一階へ降りる階段。


ひたすら走り続けた。


やがて。


アパートの外に出る。


そして。


疲れたので、歩く 。


(確か……こっち、だよな……?)


ビルが立ち並ぶエリア。


その外れ。


行き先は――


デウス商会。


辺りは、すでに真っ暗だった。


だが。


デウス商会の方へ歩いていけば、会えそうな気がした。


シュウイチに…。


確信はない。


何となく、そんな気がした。


ユウトは、首につけた十字架のネックレスを握りしめる。


しばらく歩いていると、酒に酔った男たちが前から騒がしく歩いてきた。


「……」


普段なら、恐らく逃げるように引き返していた。


だが、今のユウトは違う。


アクセサリーによって、謎の自信に満ち溢れていた。


酔っ払いとすれ違うぐらい、簡単だ。


(なんなら、挨拶でもしてやろうか)


「なんてな……」


ポケットから手を出し歩き続ける。


ゆっくりと。


不敵な笑みを浮かべながら。


酔っ払いたちの横を、難なくすれ違った。


「フフッ……」


「……」


騒がしかった男たちが、急に静かになる。


そして振り返り、ユウトの後ろ姿を驚いたように見ていた。


(悪いことしたな)


(怖がらせてしまった……フッ)


そのまましばらく歩いていると、前方から男が歩いてきた。


暗闇の中。


真っ黒な服に身を包み、ゆっくりと近づいてくる。


ユウトは、思わず足を止めた。


やがて、街灯の光が男の顔を照らし出す。


「……!?」


その人物を見て、ユウトは言葉を失った。


「こんな時間に徘徊かね」


男は、静かに口を開いた。


「保護者はどうした?」


ルイスだった。


「お前こそ、社長の分際で何で歩いてるんだよ」


「うちはまだ弱小商会だからね」


ルイスは、淡々と答える。


「それにしても……」


ユウトは、ルイスの頭に視線を向けた。


「ずいぶん変わったな?」


「君に言われたからではない」


ルイスは、少しだけ眉を動かした。


「私の意思で短くしたのだ」


少しムキになっていた。


「そういう君も……」


今度は、ルイスがユウトを見る。


黒い服。


シルバーの指輪。


黒いチェーン。


ドクロ。


ゴールドの十字架。


妙に気合いの入った立ち姿。


「ずいぶん変わったな?」


「俺もイメチェンだ」


ユウトは、少しだけ顎を上げた。


「フッ、そうか」


ルイスは口元に笑みを浮かべる。


「センスだけは褒めておこう」


その瞬間。


ユウトの心臓が、大きく跳ねた。


あろうことか。


それは、ユウトが一番欲しかった言葉だった。


「お前……」


ユウトは、思わず一歩近づく。


「分かるのか?」


「私なら、黒で統一させるがな」


「わ、分かる……」


ユウトは小さく震えた。


「俺も……そう思った」


「なぜ、そうしなかった」


「めんどくさくて……」


「それが君の限界だ」


ルイスは、静かに言った。


「オシャレに、面倒くささは付き物だ」


その言葉は。


ユウトの胸に、雷のように突き刺さった。


「いい所までは行っている」


ルイスは、ユウトの横を通り過ぎる。


「精進したまえ」


そう言って、再び歩き始めた。


ユウトは、その背中を見つめる。


黒い服。


短くなった髪。


堂々とした歩き方。


夜の街に溶け込むような、その後ろ姿。


「……」


(か、かっこいい……)

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