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最強の創造スキルを手に入れた俺、異世界で大儲けできると思ったら現代科学より上でした  作者: おりこー3


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第150話:気分屋

ユウトの部屋。


部屋中に残るオムそばのソースの匂い。


ユウトは、ベッドの上でゴロゴロしながら、以前創造した漫画を読んでいた。


「はぁ……」


「暇だ」


一度読んだことのある漫画。


忘れた頃に読み返すなら、まだ楽しめる。


だが、娯楽としては少し物足りない。


(この世界、ほんと何もないよな……)


(……ん?)


(何もない……?)


「……」


「……」


「……あっ」


ユウトは漫画を放り、勢いよく起き上がった。


「忘れてた…」


「この世界に無いもの!!」


だが。


今のスキルは、創造ではない。


天地創造。


ひとつ間違えば、大惨事を引き起こす力。


(まぁ……)


(今回は、太陽とか隕石じゃないし……)


(大きささえ間違えなければ大丈夫か……)


ユウトは目を閉じた。


頭の中で、形を思い浮かべる。


パソコンほど複雑ではない。


触ったこともある。


仕組みも…分かる。


(いける……)


「よし……」


ユウトは目を開き、手を前に出した。


虹色の光が広がる。


一瞬で光が消え――


そして。


「で、できた!!」


ユウトは嬉しそうに声を上げた。


「せ、セレス!!!」


ユウトは勢いよく部屋を飛び出した。


隣の部屋の扉を、強めにノックする。


ドン、ドン、ドン。


「はーい」


中からセレスの声が聞こえる。


扉が、ゆっくりと開いた。


「どうしたの?」


「まだ、ご飯の時間じゃないんだけど……」


「いいから来てくれ!」


そう言って、ユウトはセレスの手を引いた。


「ちょっと……」


半ば強引に、セレスはユウトの部屋へ連れ込まれる。


「見てくれよ!これ!!」


「これって……」


セレスが、部屋の中央に置かれたものを見る。


「自転車だ!」


「これが、自転車……」


「この世界に無いだろ!」


「確かに無いけど……」


セレスは、じっと自転車を見つめる。


「早速、乗ってみてくれよ!」


「なんで私が!」


「ユウトが乗りなさいよ」


「いや……俺は……」


ユウトは視線を逸らした。


「気分じゃないっていうか……」


「ユウト……」


セレスが、じっとユウトを見る。


「あなた…………」


「気分じゃないだけだ!」


ユウトは食い気味に言った。


「私だって、乗れるか分からないわよ……」


「大丈夫だ!」


「何が大丈夫なのよ」


「詩織は自転車得意だったし……」


「詩織の体なんだから、乗れるはずだ」


「何その微妙な理論……」


「いいから行くぞ!」


「行くって、どこに?」


「自転車の練習って言えば、河川敷に決まってるだろ……」


「この街に無いわよ!」


「えっ……」


ユウトは固まった。


「アパートの前の道路で良いんじゃない?」


「それじゃ、雰囲気が……」


「いらないわよ!」


「えぇ……」


セレスが前を歩く。


ユウトは自転車を押しながら、渋々アパートの前へ出た。


「さてと……」


セレスは、自転車に跨った。


「お、おい?」


「何よ?」


「いや……危ないし、最初は後ろ掴んでた方がいいよな?」


ユウトは少しだけそわそわしていた。


「掴んでてね!絶対だよ!」


「って言わせて」


セレスは半目でユウトを見る。


「実は離してましたって、やりたいのね……」


「……」


図星だった。


「ユウトじゃ、無理よ」


「掴んでてね!って言う前に、追いつけなくてゼェゼェ言ってるわ」


「うっ……」


反論できない。


「じゃあ、ちょっと行ってくる!」


そう言って、セレスは自転車をこぎ出した。


始めは、少しだけフラついていた。


だが、すぐに安定する。


ペダルを踏むたびに、自転車は滑るように進んでいく。


セレスの髪が、風に揺れた。


どんどん先に進み。


次第に、小さくなっていく。


「……」


ユウトは、その姿を呆然と見ていた。


「……」


「いいなぁ……」


ぽつりと、言葉が漏れる。


やがて、角を曲がりセレスの姿が見えなくなる。


(あいつ……どこまで行くんだ……)


しばらくして。


「ただいま!」


後ろから、近辺を一回りしてセレスが戻ってきた。


「良いわね、これ!!」


「だ、だろう!」


ユウトは少しだけ得意げに胸を張った。


「けど、うちの商会じゃ無理ね……」


「え?」


「今はパソコンで手一杯だから」


セレスは自転車から降りながら言う。


「そうか…」


「ウラジオも、ハンバーガーで忙しいだろうな……」


「レグナス商会に持ち込んだら?」


「そうだな!」


ユウトの目が輝く。


「じゃあ、行くか!」


「ちょっと待って……」


セレスは嫌な予感がしたように、眉をひそめる。


「私も?」


「当たり前だろ……」


「自転車に乗るところ、見せないと……」


「ユウトが乗って見せれば?」


セレスが、ニヤッと笑う。


「俺は、自転車って気分じゃないから嫌だ」


「はぁ……」


セレスは呆れたようにため息をついた。


「まぁ、いいわ……」


「ちゃんと分前貰うから!」


「さっ、行くわよ!」


セレスは再び自転車に跨り、軽くペダルを踏んだ。


「おい、待てよ!」


ユウトは慌てて走り出す。


だが。


数十メートルで息が切れた。


「ゼェ……ゼェ……」


「早く!」


前方で、セレスが楽しそうに振り返る。


「徒歩のスピードに合わせろよ!」


「初心者だから難しいわ」


そう言って、セレスは笑いながら再び自転車をこぎ始めた。


「少しは休ませろよ!」

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