表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強の創造スキルを手に入れた俺、異世界で大儲けできると思ったら現代科学より上でした  作者: おりこー3


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

141/162

第141話:領主邸

耳を赤くしながら、ユウトは車へ戻った。


「久しいのう、ユウト」


ドアを開けた瞬間。


すかさずセレスがイジってきた。


「はぁ……」


助手席からは、アメリのため息が聞こえた。


「お前ら、置いていくなよ!」


「私もアメリも、途中で気づいたのよ?」


セレスは悪びれもせずに言う。


「“あっ、ユウト忘れてきた”って……」


「ええ」


アメリが静かに頷いた。


(物みたいに言うなよ……)


「さっ、早く乗って」


セレスが手招きする。


「置いていくわよ」


「……」


ユウトは無言で、渋々車に乗り込んだ。


「ステイルさん」


セレスが前方へ声をかける。


「領主邸までお願いします」


「かしこまりました」


運転席のステイルは、短く。


そして必要最低限に返事をした。


車は静かに浮かび上がり、街の外れへと向かっていく。


────────


「ところで……」


車内で、ユウトが口を開いた。


「領主って、そんな簡単に会えるもんなのか?」


「普通なら無理ですね」


アメリが答える。


「ただ……シオリなら、お会いできます」


「詩織なら?」


「何度か、謁見の申し入れがございましたから」


「へぇー」


ユウトは、セレスへ視線を向ける。


「どんな奴なんだ?」


「さぁー」


セレスは、あっさりと言った。


「一度も会ってないのよ」


「会ってないのかよ」


「貴族なんて、金持ちで悪いやつだと思ってたから……」


「確かに、悪いイメージはあっ……」


その時。

────────

「君は、金持ちをどう思う?」


「何か裏で悪いことをしているに違いない」


「あいつは金の亡者だ」


「汚い金に違いない」


「そう思ったことはないか?」


「他者が金を持つと、知りもしないのに悪と決めつける」

────────

ユウトの脳裏に、ルイスの言葉が蘇った。


そして。


胸の奥に、静かに突き刺さる。


(そうだよな……)


(会ってみないと分からないよな)


ユウトの口元が、少しだけ緩んだ。


やがて。


車の先に、ぽつんと建つ大きな屋敷が見えてきた。


街の喧騒から離れた場所にある。


広い敷地。


静かな空気。


そして、その中央に建つ領主邸。


その時だった。


けたたましい警報音が鳴り響く。


「なに?」


「魔物か?」


ユウトとアメリが慌てて周囲を見る。


「違うわ!」


セレスの声が、少しだけ硬くなる。


直後。


無機質な音声が、車内に響いた。


『こちらは私有地です』


『上空からの接近は敵対行為と見なし、迎撃します』


『御用の方は、正門よりお入りください』


『繰り返します』


「ひ、引き返します」


ステイルが珍しく焦り、車を旋回させた。


『こちらは私有地です』


『上空からの接近は敵対行為と見なし、迎撃します』


「そうするしかないみたいね……」


アメリが、窓の外を警戒する。


『御用の方は、正門よりお入りください』


やがて、私有地の外に出たのか警報音とアナウンスが止まった。


「……」


車内に、緊張と静寂が訪れる。


「正門ってどこだ?」


ユウトが口を開いた。


「屋敷から伸びる一本道がございました」


ステイルが淡々と答える。


「恐らく、その先に正門があると思われます」


あの状況で、それを確認していたらしい。


(この人、すごいな……)


ユウトは、普通に感心した。


車は高度を下げ、地面を走りながら正門を目指す。


しばらく進むと、石造りの門が見えてきた。


その前には衛兵らしき男が立っていた。


「見えてきました」


門は、ユウトの背丈ほどの高さだった。


屋敷の規模に対しては、やけに小さい。


両隣には、塀のようなものも見当たらない。


ただ、ぽつんと。


門だけが立っている。


ステイルは、衛兵の前で車を止めた。


「先程は失礼致しました」


「ゴルディア家に御用でしょうか?」


衛兵は車内を見渡す。


「はい」


ステイルが答える。


「お約束はございますか?」


「いいえ。けれど……」


「シオリ・サトウが来た」


「そう伝えていただけますか?」


助手席からアメリが口を開いた。


「その必要はございません」


衛兵は即座に答えた。


「バルド商会副社長、アメリ様」


「どうして、私のことを……」


アメリが少し驚いたように目を開く。


「職業柄、この街の重要人物は把握しております」


衛兵の視線が、後部座席へ移る。


「そちらは……」


「天才科学者のシオリ・サトウ様」


「それと……」


「フリーターのユウト様ですね」


(俺のことまで!?)


「シオリ・サトウ様、並びにユウト様が来られたら、お通しするよう命じられております」


「どうぞ、お通りください」


「……」


門が開かれる。


車は、ゆっくりと敷地内へ入っていった。


正面には、領主邸。


豪華というより。


静かで。


広くて。


どこか、近寄りがたい屋敷だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ