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最強の創造スキルを手に入れた俺、異世界で大儲けできると思ったら現代科学より上でした  作者: おりこー3


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第125話:リサイクル

「じゃ、じゃあ……」


グレースが、さらに何かを聞こうとした。


その気配を察したユウトは、慌てて口を開く。


「ところで……」


「パソコンの量産化に成功したと聞いたのだが?」


グレースが何か聞こうとしていたが、ユウトは遮るように話をそらした。


全力で。


「そういや、そうっすね」


グレースは、はっとしたように瞬きをする。


「つい、ユウト博士にお会いできた嬉しさで忘れるところでした」


その言葉に、ユウトの口元が少し緩む。


「……」


その様子を、アメリとセレスの冷たい視線が無言で突き刺していた。


「博士」


グレースは、壁に並ぶモニターを指差した。


「まずは、これを見てほしいっす」


次の瞬間。


並んでいたモニターが、一斉に点灯した。


画面に映し出されたのは、工場内の様子だった。


いくつもの機械。


流れる部品。


規則正しく動くアーム。


基板を運ぶライン。


小さな部品を取り付ける装置。


検査する機械。


それぞれが、決められた動きを淡々と繰り返している。


そこに、人間の手が介入している様子はほとんどない。


「すげぇ……」


これだけは、ユウトにも理解できた。


何がどう動いているのかは分からない。


だが。


これはすごい。


それだけは分かった。


「いやいや」


「結構簡単っすよ」


「工場も、元々あったのを再利用しただけっすから」


「へ、へぇ〜」


ユウトは分かったような顔で頷いた。


「いいと思うよ、そういうの……」


「大事だよね! リサイクル」


「え……リサイクル?」


グレースが、少しだけ首を傾げた。


「フッ」


セレスが鼻で笑う。


「あ、いや……」


ユウトは慌てて言い直す。


「再利用」


「そ、そうっすね……」


グレースは、少しだけ間を置いた。


「リユース……っすね……」


先ほどまでキラキラと輝いていたグレースの目が、ほんの少しだけ変わった気がした。


「そう! リユース!」


慌てて頷き、目を逸らした。


その視線の先に、たまたまセレスがいた。


「!!」


ユウトはセレスの顔を見て固まった。


(なんつう顔で見てんだ!こいつ!!)


いいぞ。


もっとやれ。


もっとバカを晒せ。


そう言っているようにしか見えなかった。


「でも……」


グレースは、すぐにモニターへ視線を戻した。


「既存設備をそのまま活かせたのは大きいっす」


「新しく全部作るより、時間もコストも抑えられました」


「そ、そうだな」


ユウトは慎重に頷く。


今度は余計な横文字を使わない。


使えば死ぬ。


そう本能で理解した。


「ここが基板の製造ラインっす」


グレースはモニターを切り替える。


「こっちが組み立て工程」


「ここで検査」


「こっちで不良品を弾いてるっす」


「不良品?」


ユウトが反応する。


「そうっす」


グレースは頷いた。


「どうしても一定数は出るんすよ」


「だから、最後に検査して弾くようにしてるっす」


「なるほど……」


ユウトはモニターを見る。


機械が作る。


機械が検査する。


機械が弾く。


「……すごいな」


「本当に、量産できるんだな……」


「もちろんっす」


グレースは、少しだけ得意げに笑った。


「博士の設計を、なるべく崩さないようにしました」


「ただ……」


グレースの声が、少しだけ落ちた。


「資源に限りがあるんすよね……」


「……」


ユウトは思った。


まずい。


このまま話を続けさせるのはまずい。


話の内容から、何やら困っていることは分かる。


だが。


ユウトに答えられるはずがない。


そもそも、何を言っているのか分からない。


「何か解決策を……」


グレースは、そこまで言いかけて止まった。


口を開けたまま、静止する。


「……」


室内の空気が止まった。


その時。


グレースの頬を、一筋の涙が流れ落ちた。


「……リサイクル」


「え?」


「博士……」


グレースは震える声で呟いた。


「……なんて人だ……」


(なんだ??)


ユウトは固まった。


グレースは、その場に膝をついた。


「博士は、すでに問題点を把握していた……」


「間違えたふりをして、もうヒントをくれていた……」


「既存設備の再利用だけじゃない」


「廃棄される部品や不良品」


「余った素材」


「それらを再資源化する発想……」


「リサイクル……!」


「……」


ユウトは何も言えなかった。


そんなことは考えていない。


一切。


まったく。


「答えをすぐに与えるんじゃなく、自分で気づかせた」


グレースの声は震えていた。


「これが本当の指導……」


「そこまで考えて……」


「いや、そこまでお考えで!!」


「かなわない」


「博士には、かなわないっ」


グレースは、圧倒的な知識の差を突きつけられた気がした。


完全に。


心の底から。


初めて、自分の知識の敗北を認めた。


グレースは感動のあまり、涙を流していた。


「何が起こってるの……」


セレスが小さく呟いた。


状況を理解できていない。


いや。


理解できないという事実に、セレス自身が一番驚いていた。


「シオリ……?」


アメリが、セレスの様子がおかしいことに気づく。


「どうしたの?」


「分からない」


セレスは、真顔だった。


「私が分からないことが起きてる」


セレスは明らかに取り乱していた。


目の前にいるのは、何も分かっていない男。


だが、なぜかグレースと共鳴している。


セレスの頭の中には一つの言葉が浮かんでいた。


“バカと天才は紙一重”

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