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最強の創造スキルを手に入れた俺、異世界で大儲けできると思ったら現代科学より上でした  作者: おりこー3


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第123話:哀れみ

バルド商会前。


「遅い!!」


セレスの声が響いた。


何事かと、近くにいた従業員たちが振り返る。


「しょうがないだろ」


ユウトは少しだけ息を切らしながら言った。


「徒歩なんだから」


「それに、時間は指定されてないんだし」


「だからって、今何時だと思ってるの!」


セレスが腰に手を当てる。


「16時よ!」


「重役出勤でも、もっと早く来るわ!」


「悪かったって」


ユウトは手を振りながら、怒るセレスを宥める。


「シオリ、そろそろ……」


アメリが横から声をかけた。


「そうね」


セレスはユウトを睨んだまま、車を指差す。


「早く乗って!」


「どこ行くんだよ」


「工場よ」


「工場?」


「パソコンの量産ができるようになったの!」


その言葉を聞いた瞬間。


ユウトの目が少しだけ開いた。


「マジか」


ユウトは急いで車に乗り込む。


「ステイルさん、お願いします!」


ユウトが座るのを確認し、セレスが運転手へ合図を送る。


「かしこまりました」


ステイルは短く返事をした。


その瞬間、車が静かに走り出す。


やがて、ふわりと浮かび上がった。


工場区域へ向かう車内。


「……」


ユウトは無言で運転手を見ていた。


背筋を伸ばし、無駄な動きもなく、静かに運転するステイル。


必要なことだけを話し、必要以上に距離を詰めてこない。


「……あの」


ステイルが、ユウトの視線に気づく。


「何か?」


「い、いえ、何も……」


ユウトは慌てて視線を逸らした。


(やっぱり、これが普通の運転手なんだよな)


脳裏に、ドランの姿が浮かぶ。


────────────

「ユウト様ぁあっ!」


「再会のハグです!」


「この先、右に曲がりますっ!」

────────────


「……」


ユウトは静かに息を吐いた。


少し、ホッとしている。


……。


あれ?


「なぁ……」


ユウトはふと気づき、セレスを見る。


「どうせ工場まで行くなら」


「うちまで来て乗せてけば良かったんじゃないか?」


「……」


セレスは、ゆっくりと目を閉じた。


「……すぅ」


「寝たふりすんな!」


「……zzZ」


(こいつ!また!!)


その時――


「着きましたよ」


アメリが声をかけた。


車はゆっくりと降下していく。


窓の外には、巨大な工場区域が広がっていた。


以前見たカップ麺の工場とは、明らかに造りが違う。


建物がいくつも並び、それぞれが通路で繋がれている。


まるで、臓器を血管で繋いだような構造。


複雑で。


巨大で。


それでいて、一つの生き物のようにも見えた。


その建物群から少し離れた場所に、ぽつんと一つだけ小屋のような建物があった。


車は、その近くに止まる。


アメリ、ユウト、セレスの3人は車を降り、その建物へ向かった。


他の建物とは違い、急いで作られたような印象だった。


小屋。


そう呼ぶには広い。


だが、周囲の巨大な工場に比べると、確かに小屋のように見える。


体育館ほどの広さはあるだろうか。


「こちらへ」


アメリは端末を操作しながら、通路を進んでいく。


その後ろを、ユウトとセレスが並んで歩いた。


やがて、大きな扉の前でアメリが立ち止まる。


電子キーを操作し、扉を開けようとした。


まさにその時――


「いらっしゃーい」


扉が勢いよく開いた。


中から、グレースが出てくる。


眠そうな目。


少し気だるげな立ち姿。


だが、その目だけは、輝いていた。


グレースは、そのままユウトの前に立つ。


「どもっ」


「バルド商会、商品開発部門室長のグレースっす」


そう言って、ユウトの手を両手で掴んだ。


「君が……」


グレースの目が、さらに輝く。


「パソコンを開発したユウト博士っすね!」


「え??」


ユウトはキョトンとした。


(博士?)


隣のセレスに視線を送る。


だが、セレスはすっと顔を逸らした。


「とぼけなくてもいいっすよ」


グレースは、ユウトの手を握ったまま続ける。


「その知性に満ちた顔立ち」


「堂々としたたたずまい」


「内側からにじみ出る、発明家のオーラ」


「ユウト博士に間違いないっす」


「……」


ユウトは少しだけ考えた。


そして。


「やっぱり、分かる人には分かるんですね!」


嬉しそうに胸を張った。


「バレバレっす!」


グレースも満足そうに頷く。


「……」


「シオリ、どういうこと?」


アメリが小声でセレスに話しかける。


「グレースには、ユウトが来ることを伝えてあったからね」


セレスは小声で答える。


「尊敬する気持ちが、幻覚を見せてるのよ……」


「そんな……」


アメリは、ユウトを見た。


嬉しそうにグレースと握手しているユウト。


その横で、目を輝かせているグレース。


「シオリ」


アメリは真剣な顔で言った。


「私、我慢できないわ……」


「グレースが可哀想よ!」


「大丈夫よ、アメリ」


「すぐにボロが出るわ」


セレスはユウトを見ながら、静かに言い放った。

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