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最強の創造スキルを手に入れた俺、異世界で大儲けできると思ったら現代科学より上でした  作者: おりこー3


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第112話:暗い夜道

ユウトの部屋。


あれから、何日経っただろう。


ユウトはゴロゴロしていた。


ひたすら、ゴロゴロしていた。


セレスには、休むのも仕事のうちだと言われた。


食べ物も創造できる。


飲み物も創造できる。


部屋から出なくても、生きていくことはできた。


そんな日々が、数日続いた。


けど――


孤独ではなかった。


毎朝、セレスが会いに来てくれる。


くだらない話をして。


適当に文句を言って。


少しだけ笑って。


それだけで、部屋の空気が変わった。


「セレスが来るまで、あと10時間か……」


ユウトはベッドの上で天井を見つめる。


「暇だな……」


その言葉を口にして、自分で少し驚いた。


待っている。


セレスを待っている自分がいる。


人との繋がりを求めている自分がいる。


「はぁ……」


ユウトは小さくため息をついた。


「たまには散歩でもするか……」


転生前の引きこもり生活とは違う。


外に出る。


誰かに言われたわけでもない。


セレスに連れ出されたわけでもない。


ウラジオに呼ばれたわけでもない。


自分で決めたことだ。


ユウトはゆっくりと起き上がり、部屋を出た。


アパートの外に出ると、空は真っ暗だった。


夜風は、少しだけ冷んやりしている。


誰もいない暗い道。


そう思っていた。


だが――


前方から、人影が近づいてくる。


「……」


ユウトの肩が、わずかに強張った。


(まずい……)


何がまずいのか。


自分でも分からない。


相手はただ歩いているだけだ。


こちらに何かしてきたわけでもない。


それなのに、変に意識してしまう。


すれ違う時、視線はどうすればいいのか。


下を向きすぎると怪しいのではないか。


逆に見すぎると怖がられるのではないか。


息が荒いと、不審者だと思われるのではないか。


歩く速度はこのままでいいのか。


遅すぎると変か。


早すぎると逃げているみたいか。


果たして。


うまくすれ違うことができるのか。


(とりあえず、道路を挟んで反対側を歩こう)


ユウトは、正面から来る人物とは反対側へ移動した。


ところが。


ほぼ同時に、相手も同じ動きをした。


「……」


(失敗した!)


ただ人とすれ違う。


それだけのこと。


昼間なら、たぶん気にしない。


いや、気にするかもしれない。


だが夜は、その難易度が一気に跳ね上がる。


(どうする?)


(戻るか?)


(いや、戻ったら変か……)


ユウトは歩みを少しだけ緩めた。


(こうなったら……)


道の端で、壁に向かって立ち止まる。


そして――


コツ、コツ、コツ。


相手が通り過ぎるのを待つ。


コツ、コツ、コツ。


相手の足音に集中する。


コツ、コツ、コツ。


(まだか……?)


コツ、コツ。


(ん? 止まった?)


「やあ」


背後から声が聞こえた。


(俺に言ってる……?)


(そんなわけないか)


「君は……何をしてるんだい?」


男の声だった。


けど。


この声、どこかで――


ユウトは恐る恐る、ゆっくりと振り向く。


そこにいたのは。


「……」


(え? 誰だ?)


知らない男。


けど、見覚えがある。


どこで見たかは覚えていない。


「えっと……」


「こんばんは。優斗くん」


(俺を知ってる?)


「あぁ、どうも!」


ユウトは反射的に頭を下げた。


「お久しぶりですね」


(いけるか?)


「え?」


男はキョトンとした顔でユウトを見つめた。


(ダメだった……)


「あっ、いや、すいません!」


「えっと……」


「そういえば、自己紹介してなかったね」


男は軽く笑った。


「安田秀一です」


「よろしく」


「はぁ。どうも……」


「……ん?」


ユウトは眉をひそめた。


「その名前、どこかで……」


「君と同じ日本人だよ」


「!!?」


その言葉を聞いて、ユウトの脳裏に記憶が蘇る。


レグナスが言っていた。


俺たち以外の転生者。


「レグナス商会の?」


「元ね!」


秀一は、あっさりと言った。


「立ち話もあれだから、飲みにでも行かない?」


「酒はちょっと……」


「なんだ、20歳未満か」


「いや、21です」


「飲んだことがなくて……」


「なんだ、同い年か!」


秀一の表情が明るくなる。


「挑戦してみる?」


(どうする……)


(正直、前から興味はあった……)


(けど、初対面の相手と酒……)


ユウトは少しだけ迷った。


相手は同じ日本人。


同じ年。


しかも、転生者。


だが。


初対面。


夜。


酒。


普通に考えれば、かなりハードルが高い。


けど…


「ち、ちょっとだけなら……」


ユウトは小さく答えた。


「合わないって思ったら、無理することないよ」


「あ、ありがとうございます」


「タメ口でいこ」


秀一は気さくに笑う。


「同い年やし、しかも同郷やろ?」


「仲良うしてや」


「……」


ユウトは少しだけ戸惑った。


距離の詰め方が早い。


かなり早い。


だが、不思議と嫌な感じはしなかった。


「じゃあ……」


ユウトはぎこちなく頷く。


「よろしく……」


「うん」


秀一は満足そうに笑った。


「ほな、行こか」


そう言って、秀一は歩き出す。


ユウトはその隣を、少しだけ距離を空けて歩いた。


夜の道。


知らない世界。


同じ日本から来た、知らない男。


少し怖い。


少し不安。


けど。


少しだけ、気になった。


部屋の外に出たことで、また新しい誰かと出会った。


それが良いことなのか。


悪いことなのか。


ユウトにはまだ分からない。


けれど。


少なくとも今は。


一人で歩く夜道よりは、少しだけマシな気がした。

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