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最強の創造スキルを手に入れた俺、異世界で大儲けできると思ったら現代科学より上でした  作者: おりこー3


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第104話:試食会

コンコンコン。


扉を叩く音で、ユウトは目を覚ました。


「……」


ぼんやりと天井を見る。


あれから、何時間寝たのだろう。


「ハッ」


すぐに思い出し、慌てて時計を見る。


「……」


五分しか経っていなかった。


「寝た気がしない……」


コンコン。


再び、扉が鳴る。


「はーい」


ユウトは眠気の残る顔で立ち上がり、扉を開けた。


そこに立っていたのは、レイヴンだった。


「お迎えに参りました。ユウト様」


「……」


ユウトは少しだけキョトンとした。


てっきり、ロイドが来ると思っていたのだ。


「いかがなさいました?」


「いや……」


ユウトは部屋の中を振り返る。


床に置かれた、大きな持ち運び用の箱。


中には大量の試作品。


「ちょっと荷物が重くて……」


「かしこまりました」


レイヴンは一度、箱へ視線を向けた。


そして、即座に判断する。


「では、ロイドを呼びましょう」


「ありがとうございます」


レイヴンは静かに頷き、その場を離れた。


ユウトは、その背中を見送る。


元暗殺者。


そう聞いている。


だが、レイヴンもユウトと同じく細身で、腕も細い。


力仕事というより、気配を消して背後に立つ方が似合っている。


(さすがに、この箱をレイヴンに持たせるわけにはいかないからな……)


力仕事は、体格のいいロイドが適任だろう。


しばらくして。


廊下の奥から、勢いのある足音が近づいてきた。


「おう!」


「来てやったぞ」


腕をまくりながら、ロイドが歩いてくる。


「悪いけど、あの箱を頼む」


ユウトは部屋の中を指差した。


「任せな!」


ロイドは親指を立てる。


「上がらせてもらうぞ」


そう言って、部屋に入った。


そして、次の瞬間。


「なんだこの部屋!!」


ロイドの声が響いた。


黒いカーペット。


黒いベッド。


黒いカーテン。


黒縁の鏡。


黒いガラステーブル。


黒いソファー。


部屋の中は、見事なまでに黒で統一されていた。


「おっ!」


ユウトは少し得意げに笑う。


「分かるか?」


「良い部屋だろ」


ニヤっと笑うユウト。


ロイドは、もう一度部屋を見回した。


そして。


「いや、センス悪すぎだろ」


「……」


ユウトの表情が固まる。


(お前もか……)


ロイドはそんなユウトの反応を気にすることなく、箱の前にしゃがみ込んだ。


「これだな?」


「うん」


「よっと」


「んっ?」


大きな箱を両手で持ち上げたロイドが、少し首を傾げる。


「どうした?」


「いや……言うほど重くないぞ?」


「俺にとっては重いんだよ!」


「ハハハ!」


ロイドは楽しそうに笑う。


「ちょっとは鍛えないとな」


「余計なお世話だよ」


そう言いながら、ロイドは箱を抱えて部屋を出る。


ユウトはその後を追いながら、部屋の扉を閉めた。


ガチャ。


鍵をかける。


念のため、軽く確認する。


「よし」


ロイドの後を追い、車へと向かうユウト。


車の前では、レイヴンがドアを開けて待機していた。


中には、ウラジオがぐったりと座っている。


「ユウト殿……」


「先程はどうも……」


その声には、いつもの覇気が感じられない。


「何かあったんですか?」


「決算の後は、いつもこうです」


ユウトの質問に、レイヴンが代わりに答えた。


(さすが大商会……)


(大変だな……)


ロイドが試作品の箱を、ウラジオの隣に置く。


ユウトは、ウラジオと試作品の横に座った。


ユウトが座ったことを確認し、ロイドとレイヴンもそれぞれ運転席と助手席に座る。


「さて……」


ウラジオが、元気なく口を開いた。


「試作品を頂いてもよろしいでしょうか?」


「え?」


「ここでですか?」


「今回の要は、車での飲食ですからな……」


ウラジオは弱々しく笑う。


「実際に車で食べるに限ります」


「なるほど……」


確かにそうだ。


店内で食べやすくても意味がない。


車内で食べられるか。


持ちやすいか。


こぼれにくいか。


それを確認する必要がある。


「では……」


ユウトは箱を開けた。


その瞬間。


車内に、食欲をそそる香りが広がる。


焼いた肉。


揚げた芋。


ソース。


玉ねぎ。


油の香ばしさ。


その香りに、ロイドとレイヴンが同時に振り返った。


ウラジオも、先ほどまでの疲れた目から一転し、箱の中を覗き込む。


「お、おい……」


ロイドが口を開く。


「旦那に言われて、朝から何も食ってないんだ」


「この匂いは反則だろ」


「早くしてくれ!」


我慢の限界が来ているらしい。


「まずは、シンプルなウラジオバーガーから」


「ほう!」


ウラジオの目が輝く。


「私の名前の商品名ですか」


ユウトは、三人にウラジオバーガーを渡した。


「いただきます」


包み紙をめくり、ウラジオ、レイヴン、ロイドが同時にハンバーガーへかじりつく。


その瞬間――


三人の目つきが変わった。


「うっめぇ!!」


ロイドの声が車内に響く。


ウラジオは目を見開いたまま、無言でもう一口。


レイヴンも表情こそ大きく変わらないが、明らかに食べる速度が速い。


(飲み物なしじゃ、つらいよな……)


ユウトは三人に見えないよう、後ろ手にラムネを創造した。


「どうぞ」


三人にラムネを手渡す。


「ちょうど欲しかったところです」


「ありがとうございます」


ウラジオはすぐに受け取り、一口飲んだ。


レイヴンも静かに頷く。


ロイドは、ほぼ一息で飲みかけた。


「ゆっくり飲めよ」


「うめえんだから仕方ねえだろ!」


気がつくと、三人ともウラジオバーガーを完食していた。


「次は、好きなものをどうぞ」


ユウトは箱の中を指差す。


「包み紙に商品名が書いてあります」


「サイドメニューにフライドポテト、ナゲット、オニオンフライ」


「ナゲットは二種類のソースがあるので、それぞれ試してください」


(ロイドはウラジオビッグバーガーだろうな)


「んじゃ、俺はウラジオビッグバーガーから」


(やっぱり)


「私は、ウラジオチーズバーガーを頂きます」


(レイヴンは基本のルートを進むタイプか)


「では私は、ウラジオスペシャルチーズバーガーを頂きますかな」


(ウラジオらしいな)


(こうして見ると、それぞれ個性が出る……)


そんなことを考えている間にも、三人の手は止まらなかった。


包み紙が開かれ。


肉とソースの香りが広がり。


フライドポテトがつままれ。


ナゲットがソースに沈む。


「……」


「次は……」


「えっ」


気づいた時には、三人とも二つ目を完食していた。


「六種類もあるので、全部食べるとお腹いっぱいになりますよ」


ユウトは少し心配になった。


だが、三人はまったく止まらない。


「そうなのですがね……」


ウラジオが、少し困ったように口を開く。


「止まらないのです」


「同じく……」


珍しく、レイヴンも小さく同意した。


「俺は大丈夫だ!」


ロイドはフライドポテトをつまみながら言う。


ブレない。

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