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「名前だけは承知しております。柊崎 明柯さん」僕は顔を見て、彼女の顔を言った。彼女はよろしいと言い、シミュレーター室の中の方へと案内した。
僕は柊崎さんに付いていく。少々薄暗い空間であった。そしてどうやら今まで僕が通っていた高校の教室のような作りをしているところであった。しかし基本的な作りは、1990年代の、瓦礫の塗装が少しだけ剥がれているようだ。ここにも被害があったのか、コンクリートには、無理矢理補強されたように、ところどころ修正のあとがあった。
「証明の電源を付けるか」
ぼくは彼女の声に反応する。薄暗い室内のため、どこになにがあるのか、僕にはわからない。
そして、柊崎さんは明かりを付けた。
彼女はいつの間にか、大きな黒い鉄の箱の前に立って何かをいじっている。
「電源に、システムエンジン…… そして……有線コネクタ……あとは」
彼女は、機会に乏しい僕には、よくわからないような単語を言った。一つ一つの単語で電源装置の準備が整っているのか、いろいろなランプが一つずつ光っていく。赤、黄色、緑、青。
最後の接続を終えたところで鉄の箱の横にあったPCの画面に、起動しましたと出ていた。そして次に出てきたのは、棒の中を指定する調節線であった。そこに柊崎さんは、手に持っていた僕の身長や体重、そしていろいろなデータを記入していく。ここまで僕の情報が事細かに、記されているのは、個人情報保護法の域を越えているのではないかと思った。まあこの際はしょうがない。僕がここに、こうして世界を救うためにやらなければならないことだからだ。だからこのことについてなにも思うことはないようにした。
「シオ君、君の血液型はO型だね?」
柊崎さんは、どうやら僕の血液型を聞いていたようだ。僕はまよわず彼女に血液型を教えた。
「はい、僕の血液型はO型です」
僕がそのようなことを言うと彼女は意外そうな顔をしてそして、このようなことを言ってきた。
「しかし君がO型か、君の挙動などを見ていると繊細なA型という感じがしてならない」
彼女はそれも、推理するようにして答えていた。しかしその推理はまったくと当てはまらない。
「以外という顔をしていますね」
僕はすかさず彼女にそのようなことを言い放つ。
「ああ、まったくだ…… 私の血液型の的中率は99%という大平にあったのだがな」
彼女は悔しそうにそのようなことをいって、シミュレーションシステムの準備をしている。
「血液型で性格が判別できるなんて、僕は迷信だと思いますけどね」
僕は血液型によって、おおまかな性格がわかるとは思わない。むしろそのような当てつけなどまったくもって僕には考えられないのだ。なにかを枠組みに入れることによって、簡易的に分類しようとしている発想なのだろう。しかし人間は多種多様であり、絶対的になにかの枠に入れられるような同じような性格をしている人間というのはいないとこれまでの人生経験で僕はそう推測する。血液型診断などと、誰が考えたのだろうか。
「そのようなものは信じない質の人間か?」
柊崎さんは、僕にそう聞いてきた。
「はい、そんなものはないと思いますね」
僕は彼女に、そう答えた。彼女はおもしろそうな、興味があるような顔つきになった。
そして僕は持論を展開する。
「血液型診断なんて、誰にでも当てはまるようなことを、おおざっぱに言い当てることによって、誰にでも当てることが、そうそれだけで信憑性が増すんです。それほどまでに人間というものは簡単にできているんだろうですけどね」
そう言って彼女を見ると、なるほどとうなずいていた。
「しかし、いかにもという感じだな。誰もが信じていることは、一見常識でありながらも、そこには当てつけしかないようなものだと、おまえは言っているのだな。なるほど、おもしろいじゃないか」
柊崎さんは、そういってにこやかに準備をしている。ここまで会話が続かないようなことを言っている自分は、たぶん普通の人ならば嫌われてしまっていただろう。しかし彼女はおもしろいといっていることに、僕は彼女は、僕に負けて劣らず変わり者であるということに僕は驚いた。そしていままでの世界の広さを知らしめられた。やはり世界にはいろんな人がいるのだな。
僕はいままでの自分がいた世界がどれほどまでに狭いのかという考えに陥ってしまうほどに、考え込んでいた。
「よし、準備ができた。これでシミュレーション装置は安全に作動するだろう」
柊崎さんは、準備が終わったのか、いままで彼女の横にあった大きな箱の扉を開けた。そして僕にここに入るように、指示を出す。
「このヘルメットを被って、中に入ってくれるか」
柊崎さんは、パソコンがおかれている机の上から、ヘルメットを渡して、ヘルメットをプラグにつないで僕に渡してきた。僕はそれを受け取ってゆっくりと、その鉄の中へと入った。
どうやらこの天井にぶら下がるようにして、何か機械のようなものがたくさんぶら下がっていた。どうやらこれらは、腕に付けるようなものとなっている。それがわかったのが、このバンドであった。そして首の近くに小さな電子極パットを付けるようだ。まるでどこかのロボットアニメのようでもあった。一通りの、体に装着するものを付ける。まずは腕、そして首、そして胴体、僕には足がなかったので、神経接続をしている部分に、柊崎さんが持ってきた、僕専用の接続部品で接続が終わった。感度良好とのことだった。
中は、どうやら誰かが、使っていたようで、甘い匂いが漂っていた。しかし少しだけ酸っぱいような臭いもしており、僕はこの臭いに、ちょっとだけ気になったが、気に障ることでもないと考えて正面のreadyの文字を見た。
「しばらくすると、システムが作動する。そして機械の音声指示にしたがうのだ、いいな」
健闘を祈ると、柊崎さんは、扉を閉める前にそのようなことを言っていた。僕はどうすることもなく、機械の指示に従い、そして体の準備をするために、ジャンプを何回か行った。
気持ちの準備はできた。
「起動シークエンスのフェーズに入りました」




