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まったくこれから世界を救うというのに、なんともまあ、ふざけた世界なのだ。
これぐらいにふざけ倒していると、世界なんて救う価値はあるのかと、僕はとんでもないような考えに陥ってしまうだろう。だからだ、このような僕にならないためにも、僕は過去の情報を頭にたたき込むことはもうやめにした。
時計をみると、どうやら約束の時間まで後少しとなっていた。よしここらでやめにしよう。
約束の時間よりも10分も早くにきてしまっていた僕はこれから、なにが始まるのか僕にとっては考えようもないようなことであった。これからエクステリアに実際に乗るために、シミュレーター室の扉の向かい側にある、花壇に座っていた。シミュレーター室は八〇年代を臭わせるような、バブル初期の建造物であった。しかし所々は、大きな被害であり、鉄骨の柱がコンクリートが剥がれて見えていた。これから月に、3週間後には月に対して、戦うということになるのだ。僕一人で戦うということもあるのもかもしれない。あの作戦会議室で僕はあまり作戦内容については触れなかったため、詳細な作戦は僕の頭の中には入っていない。入っていないとしても、これから始まる人類救済のためにも、がんばらなければならない。それも猛進的にだ。そこにはどんな信念も、考えも、理由もいらない。いままでの歴史の英雄たちは、それなりのものがあったのかもしれない。しかし僕のような人間に対しては、そんなものはよけいにいらないものだと、そう判断する。少々イかれてしまっているような人間には、動機などは存在しない。ただそうであったがために、動くしかないのである。まったく、このような人間が人類を救済するなど役者違いにもほどがあるのではないだろうか。むしろ僕のような人間に世界を救ってもらうだなんて、侮辱されているようなものではないだろうか。
しばらく、カリキュラムの紙束をペラペラと眺めていると、これから僕という人間が、どれほどに成長していくのかという予定表のようなものがかかれていた。とりあえず三日でエクステリアというパワードスーツ的な機体を乗りこなせることが目標となっていた。エクステリアというものが
、どのようなものなのかは、わからない。そしてどれほどに乗り堪えがあるものなのかまったくと見当がつなかないのだ。たしかにちょっとではあるが、あの作戦室に来るときに、チラッと拝見したものだ。あととんでもないよな鉄がすり切れるような音と共に。
とエクステリアのことを考えていると、一人の女性が僕の方へと歩いてきた。カツカツとハイヒールの音を鳴らして、僕はその音が鳴る方へと視線を向けていた。黒光りしたハイヒールのかかとの尖っているところが、コンクリート性の地面を叩くようにして進んできている。すらっとした黒のスカート、黒という色が、体型も引き締めているようだった。そして黒のブレザーを羽織り、あまりパツパツにならないように、余分な感覚があった。あまり体型のラインを描かないようにと、服装を選んでいると思われるが、しかし出るものは出るようで、隠せないものとなっていた。おもわず誰もが、通り過ぎてしまえば、見返すであろう。彼女のその印象的なキリッとした眼、氷結でさえも、一段と凍ってしまいそうな眼をしていたのだ。しかし、僕という人間は、そんな彼女に美しいと思っていた。これは一目惚れの部類ではないとはっきりと宣言できる。きれいな絵を何時間も眺めたくなるような、そんな感覚と似ていた。彼女はそんな僕をしっかりとみたのか、それともこれから始まる地獄のようなものを、見据えて笑っているのか、それは僕にはわからない。しかし彼女がこれからどのようなことをするのかは、わかっていた。彼女が今日から僕の教官であるということだ。
「初めまして、代那シオ君」
彼女は見据えるようにして僕を見ていた。まるでいままでの僕のなにもなかった日々をせせら笑っているかのようでもある。
彼女はしっかりと、彼女が見える位置まで歩いて、そして一言このようなことを言い出した。
「君の噂は聞いている。しかし、君が”あれ”を引き起こしたとは私には、君の顔を見るに”そんなこと”を起こしてしまった人物だとは考えられないな」
彼女は僕のしらない何かを知っているかのような発言をしていた。その顔はどうも、すべてを知っていて、すべてをあざ笑っているかのようでもあるのだ。
「初めましてこれからよろしくお願いします」
僕はあくまで普通に彼女にはじめの挨拶というものを返した。それを聞いた彼女は、またもや人の顔を笑うようにして、口元があがり、どうもなにかを警戒してもいるようである。
「よろしくだ。しかし力は今にして押さえられていると言うが、しかしだ、君がひとたびあのようなことをしてしまったら、いくらバックアップの能力者が付いているとはいえ、今度こそ日本がなくなってしまう」
”あのようなこと”という単語に僕は、どのようなことなのかという疑問がある。ここでそれを聞いてしまおうかと、練っていると彼女は会話を切り出した。
「まあ、いざとなればこの私が対処をしてしまうがな--ところで代那君」
こちらが聞こうとしていることを彼女は遮るようにして質問をくりだした。僕は彼女に流されるようにしてこう訪ねる。
「なんでしょうか?」
彼女はいつのまにか、シミュレーター室のドアをあけていた。そして開けた頃には、僕を扉の前で呼び込む。
「君は、わたしのことについてなにかわかっているか? なんせ君に会ってから自己紹介がなかったからな」彼女はそう言う。僕は彼女は、僕の情報について僕にも知らないようなことを知ってはいたが、僕は彼女についてはカリキュラムに載ってある名前以外は、まったくと知らないものであった。
「名前だけは承知しております」僕は立ち上がり、彼女の名前を言った。「柊崎ふささき 明柯めいかさん」




