始めての魔物討伐
5年経った。どうやら俺には魔法の才能が絶望的にないらしい。
使える魔法は火を連想させる赤色の基礎魔法を幾つかだけだ。詠唱なんてものは全く出来ない。イメージを言葉にして魔法に付加するという感覚は本能的に伝わるものであり、転生をしてその本能が備わっていない俺からすると全く理解出来ないことだったからだ。
だから俺には俺固有の赤色の固有魔力を使った魔力代替しか出来ない。
その事実に気づいたとき、俺は絶望した。
しかし、いつまでもクヨクヨしているわけにはいかないと開き直り、いっそ魔力代替を極めてやろうと思った。まず無属性魔力量を底上げし、次に赤色の魔力を混ぜる練習をした。途中、俺は魔力枯渇で何度も気絶したがあの"無意識の世界”にたどり着くことはなかった。
「今日は最後の試練です。魔物の討伐訓練、これを乗り越えれば坊ちゃんも1人前です。」
「1人前って言っても才無しだけどな…」
つい悪態をついてしまう。
「いえ、そんなことありません。そもそもその年で魔法を使えること自体おかしいのですよ?」
「神童は所詮神童。時が来れば凡人さ」
「………」
おおっと、別にくらい雰囲気にするつもりはなかった。
「で、今日は何するの?」
「この街の外れにある草原で、魔物の討伐をします。魔物については以前説明しましたが、覚えていらっしゃるでしょうか?」
覚えていらっしゃるぞ。魔物は魔力を持つ生命体で文明を持たないもの。文明を持つものは魔族と呼ばれる。
地球の人類と他の動物みたいなものだ。
魔族には大雑把に分けて半魔人と魔人がいる。半魔人は人間とのハーフやその他の理由で人間と友好的な魔人である。魔族、と言われたら一般的にこちらを指す。
一方で魔人、古代魔人とも呼ばれるのだが、こちらは純血の魔人で、人間とは敵対しており、それにかなりのチカラを持っている魔族のことである。かつて古代魔人たった1人で小国が一つ滅ぶほどの被害をもたらしたことがある。それくらい強い。が今は大賢者が大方封印してほとんど存在しないらしい。
「ちゃんと覚えてる。早く行こう」
「そうですね。では早速いきましょうか」
街から出て少しすると、草原についた。広がる真緑の光景に思わず息を飲んでしまった。風という指揮者の下、音を奏でる大自然のオーケストラ。朝露に陽光が反射して眩しい。小さな生命がその存在を音に調和させる。まさに自然が生きていた。
「………」
絵画的な風景に絶句した。これが俺が生きていく新しい世界なのだ。排気ガスや雑音、高層ビルなど無秩序が存在しないありのままの自然の姿に俺は高揚した。
「坊ちゃん、あれが試練の標的のランドルでございます。」
指された方には、1羽のウサギがいた。一本の角が生えた紅眼の白ウサギ。草を食んでいるところだった。
「ランドルは草食の魔物です。臆病な性格なので気づかれればすぐに逃げられます。基本的に無害なので初心者におあつらえ向きな魔物ですが、角にだけはお気をつけください。ではご健闘をお祈りします」
「わかった」
気づかれないように慎重に近づく。魔法の有効範囲まで近づくと俺は魔力を右手に集中した。流石にここで火魔法をぶっ放す訳にはいかないので、放つのは"魔力弾"、魔力を圧縮し、そのまま放出する魔法だ。
ランドルがこちらに気づいたみたいだ。幸い、すぐに逃げ出すことはせず、こちらの様子を伺っている。止まってくれているうちがチャンスだ。動き出せば当てれるわけがない。慎重に、慎重に魔力を練る。
「ッ!!!?まずったか!」
ランドルが逃げの姿勢に入った。
「≪魔力弾≫」
俺はとっさに放った。透明な塊は、走る白い動物を一直線で捕らえた。
ランドルは一瞬怯んだが、やはり距離のせいかあまり深いダメージにはならなかったみたいだ。体勢を整えて一目散に逃げ出した。
「くそぉ!」
「いえ、さすがです。一発でランドルを捕らえられるものなど、そうそういません」
「次だ次!」
俺はその後も魔物討伐を試みた。
情景描写難しい……
次回、ターニングポイントです!晩くらいに投稿します!
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