大賢者
「事情は大体把握したわ。あなたたちまだそんなことしてたの?」
「だって人間だもの」
「なぜだか名文を凄く馬鹿にされた気がしたわ」
「同感だ」
「えぇと、あなたは?」
「俺はラスタ・ブレードル。来月からここの生徒だ。よろしくな」
「私はベル・トワイライト。ここの風紀委員長をしているわ。よろしく」
黒髪に黒い瞳、肩から垂れる2本のおさげ、綺麗なうなじ。日本人みたいな容姿をしている。
「へぇ、風紀委員長を。強そうだな」
「一応、大賢者と呼ばれているわ」
「ふーん、大賢者を。強そうだな………えっ!!!?」
じいさんとラウールさんと互角だと……
「と言っても大賢者の中でも最弱。メイ様やラウール様には到底かないませんが」
「そういえばさっき俺と試験官の魔法をかき消したの何?」
じいさんに教わった魔法にはあんなのなかったな。
「あれは私の固有色、透明色の魔法よ。透明の魔力で包み込んだ魔法をかき消すの」
え、なにそれチート。
「魔法使い相手だと負けないんじゃないですか?」
「そうでもないわ。馬鹿にならない量の魔力を使うし、それに魔法を無効にするだけ。攻撃はできない」
「でも詠唱で攻撃魔法を使えば……」
「私、詠唱ができないの。多分透明色の魔力が他の魔法をかき消してるからだと思うんだけど」
「ぜ、全然使えねぇ……」
「そう、だから私はレアな固有色持ちってだけで大賢者になったの。だからそこまで強くないと思ってもらって構わないわ」
「おい!俺のことを放置するな!!!」
喧嘩してた二人が騒ぎ出した。
「俺は合格する力があったんだぞ! 水属性なら中級までなら無詠唱で発動できる! それに俺と一緒に試験を受けてたエルフなんて≪火炎≫を詠唱付きで唱えて合格だぞ! 差別があったに違いないだろ!!」
「えぇ、確かに差別があったことは認めるわ。このことは上に連絡させてもらいます。恐らく不合格は取り消されるでしょう」
「なぜだ! 人間など入れる価値はないだろうが!」
この試験官、腐ってやがる……
「先生、差別はやめてください」
「差別じゃない分別だ! 劣等種を相応しい場所へと帰すのは優等種の使命だろ!」
「はぁ……呆れて何も言えないわ」
「黙れ"忌み子"!!!」
"忌み子"、それの意味するところはわからないが、その言葉が発せられた瞬間ベルの表情が曇った。
「ラスタくん……だよね? あなたは一応良識ありそうなので後は任せたわ。私は急用を思い出したから」
「お、おう……」
地雷を踏まれたのか。今はそっとしておいてやろう。
「へっ。人間は人間らしく引きこもってろ!」
「お前、言い過ぎだぞ」
「お、お、お前新入生だろ! いいのか試験官に逆らっても! お前の合格を取り消すぞ人間!!」
「できるものならやってみろ。俺はメイさんの紹介でここに来たんだ。もしそれをしたならば大賢者に喧嘩を売ることになるがそれでもいいならな」
「だ、だ、だ、大賢者様のお知り合いとはつゆ知らず数々のご無礼をお許しください!!!!」
めっちゃ土下座された。え? さっきの子も大賢者だよね? 何この扱いの差!?
「まぁどうでもいいけど……この子どうするんだよ?」
「そ、そ、そ、それはもう最高級のおもてなしをさせていただきます!! 」
「いやそこまでは言ってないけど、せめて普通に試験を受けさせるくらいさせてやれよ」
「わ、わかりました!! わたくしめが恐縮ながら試験を監督させていただきます。 さぁこちらへ。あ、そこ躓きやすいのでお気をつけください!」
態度が180°変わった件。
次は晩に投稿したいと思います。




